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マカネ  作者: いずみ
5/22

炎の剣5

翌朝。


「…よし」


荷物の準備が終わった。もともとそんなに用意するものもない。ちょっとした装備ぐらいなもんだしな。


女子たちの準備は終わっただろうか。


「おーい、準備終わったか〜?」


「ま〜だ〜!」


マリが大声で返してきた。あいつ、自分の家に帰るだけなのになに準備してるんだ。


まあいいや、マリの準備が終わったらすぐ出発できるようにしておこう。


自分の部屋を出て、居間の方へ向かうと、すでにアイとリンがいた。


「おはよう。もう2人とも準備終わったのか。早かったな」


「おはようございます。わたしたちはそれほど荷物もありませんので…」


アイが答える。


それもそうか。よく見ると、2人の着ている服が昨日と比べて地味になっている。

それでも気品の良さというか、上品さはあるが、これなら俺たちと一緒にいても、貴族の娘とは思われにくいだろう。


「服、マリさんに貸していただいたんですよ」


俺の視線に気づいたのか、アイが教えてくれる。


「そっか、それなら目立たなくてよさそうだな」


と思ったままのことを言うと、


「あなた、もっと気の利いた感想とかないの?似合ってるな、とかかわいいよ、とか」


とリンに突っ込まれる。こちらもアイと同じく、おとなしめな格好に着替えている。


か、かわいいよって。そんな恥ずかしいセリフ言えるか。


かといって似合ってるというのも変だ。だって普段、これよりいい服を着ている訳だし。


「動きやすそうでいいな」


なんとか絞り出した、当たり障りのない感想を伝えると、リンがはあ、とため息をついている。


「いつもこんな調子なの?マリもかわいそうね」


と、呆れた様子のリン。


マリは自分から「似合ってる〜?」と聞いてくるタイプだから返答には困らないんだけどな。


貴族なんかはそういうのが普通なんだろうか。庶民とお金持ちとのギャップだな。


「ごめ〜ん、遅くなった〜」


くだらないことを考えていると、マリの声が聞こえてきた。準備が終わったようだ。


居間に来たマリは大して荷物が多いわけでもない。


「何の準備してたんだよ」


聞いてみると、


「えへへ〜」


としか言わない。


「あ、マリさん、かわいいですね!その服、とても似合ってますよ!」


とアイがほめる。さすがお嬢様。お手本のような返しだ。

感心していると、リンがこちらをにらんでいる。

さっきのことを踏まえると、服装についてなにか言えってことだろう。


「おまえ、自分の家に帰るのに、いつもよりおしゃれしてどうす」


バシッと頭をはたかれる。なんで…?


「さ、こんなやつはほっといて、いきましょう」


リンが(こいつが犯人だろう)2人の手を握って外へ出る。


ほっといてって。車の運転も、ボディガードも俺がするのに。こんな扱いでいいのだろうか。まあ報酬は出るし。貧乏人は大人しく黙って従おう。


俺も3人について家を出る。


「アイとリンは後ろの荷台にのってくれ」


「わかってるわ。こっちの方が姿が隠れるしね」


リンはここまで、アイを連れて逃げて来ただけあって、その辺りのことは、理解しているみたいだ。

荷台には野菜も積んでるので、カモフラージュにはちょうどいいだろう。


「しゅっぱ〜つ!!」


助手席に乗り込んだマリが元気よく拳を空に突き上げる。

後ろの2人も、


「おーっ!!」


と同じポーズ。こいつらほんとに逃げてるのか?旅行気分じゃねーか。


車のエンジンをかけて、出発する。

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