炎の剣1
はじめまして、いずみと申します。
初作品です。荒いところ、辻褄が合わないところ、日本語がおかしいところなどなどたくさんあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします!
コメント大歓迎です!
王城、王の間にてー
ーーーコツコツ。
と、それまで規則的に外から聞こえてきた足音が大きな扉の前で止まった。ここが目的の場所だと言わんばかりのその様子は、中にいる者の返事を待っているようだった。
本来ならばもっと広く、そして豪華な装飾が許されるであろう、この広間(もちろん庶民にしてみれば、これでも十分に豪華と言えるが。王の間なので庶民と比べものにならないのは当然である。)には人が2人。部屋の奥、少し高い位置に座る初老の男と、その隣に立つ若い女だ。
「アルフレッド様が参られたようです、いかがされますか?」
若い女が言う。初老の男が気だるげに、
「ふむ、何の用かは知らぬが、グッドタイミングってやつだな。通していいぞ。ちょうど私からも話があったのだ、探す手間が省けたわ」
と答える。
「また迷子になる気ですか?あまり城の中でうろちょろしないように。あなたはこの国の王なんですから。一言ご命令いただければーーー」
「あーいい、それ以上は言わんで。わかっとるから」
「まったく。それでは私は扉の前におりますので」
女はため息をついて、部屋の外へと出て行く。入れ替わりで、若い男がやってきて、王が座っている前で跪く。
「おお〜久しぶりだの。南の方に遠征に行っておったのだろ?で、どうだった?・・・とは言っても、お主のことはここに座ってても、いやでも耳に入ってくるからな。今回も英雄アルフレッドの名に恥じない活躍ぶりだったそうじゃないか」
「いえ、私は私の任務をこなしたまでのことです」
興奮気味の王とは対照的に、あっさりと返す英雄と呼ばれた男。
「・・・お前はもうちょっとゆるくしたほうがいいと思うぞ、そんな感じだと部下も気を抜く暇があるまいて」
「はっ。・・・それで話とは?」
「そうだったそうだった。しかし私の話の前にお前の用をすませるが良い。あるんだろう、話したいことが」
「それでは、恐れながら申し上げます。城の宝物庫にある“マカネ”を私に預けてはもらえないでしょうか」
「あれをか?しかしあれはお前の父にも反応を示さなかったぞ。それにお前はすでにマカネを手にしているではないか。それだけでは不満かね」
「不満というわけではありません。ただマカネは、マカネの使い手は強大な戦力です。小さいこの国が、未だ大国に飲まれずにいるのも、マカネの加護があればこそです。私が使えずとも、使い手を見つけ出し、この国を守って行くことこそが繁栄と平和に必要なことだと考えます」
「ふむ、それがお前の用件か」
「はい」
と短く返す男。
「実はな、私の話もある意味ではお前と同じでな」
「と言いますと?」
王は立ち上がり、窓の外の街並みを見ながら話し始める。
「マカネがあれば平和だと、お前はそう言うがな。私はマカネがあるからこそ、それを奪おうと戦争が絶えないのではと思うのだ。表面上は平和でも苦しんでるものは大勢いる。繁栄も大いに結構だが、中には今日、明日を生きることで精一杯のものもいる。たしかにマカネの力があれば、国は守れるかもしれない。だが民はどうなる?マカネの奪い合いで真っ先に苦しむのは力のない民だ。お前は国を守る、それだけのために何か大事なことを忘れてはおらんか?」
「・・・・・・」
男は黙り込む。
「私はマカネをどこか他の国にでもやろうと思ってての」
「ッ!本気ですか!?そんなことをすれば、他国からの侵略をうけます!」
男が顔を上げ、声を荒げる。
「わかっておる。そのかわりに民を守ってもらうのだ。争いの種なんて持ってても仕方ないからな、欲しい国にでもくれてやるわ」
「そんな約束、素直に他の国が従うと?私にはそうは思えません」
さっきとは打って変わり、王が落ち着き、男がわずかばかり興奮している。
「そこで悩んでおるのだ、どうすればよいかの?」
顎に手を置き考える仕草を取る王。男の方も落ち着きを取り戻し、
「・・・王のお考えはわかりました。ならば私がやることはひとつです」
「・・・?」
不穏な空気を感じ取り、男の方を振り向いた王だったが、時すでに遅し。王の喉元に男のもつ剣が突きつけられていた。
「あなたには国を守れない。王を退いてもらおうか」
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