表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
策士(一般枠)は黒幕ムーブを愉しむ  作者: 御丹斬リ丸
黒幕lv1 正体不明の敵
3/5

カマをかけるだけの簡単なお仕事

評価……いつのまにかついてる……( ゜д゜)

2020/11/08 読んでみたら意味がわからなかったので文書を大幅に修正しました。



 さて、ノリで介入してしまったがどうしたものかな。

 自分から面倒ごとに突っ込んでおいて何だけど、こういう厄介事は、引き際が肝心だよね。

 まぁ……正直、僕は何も関係ないしそもそもの話がわからないから話の納めどころに困っているのだけども。

 なんだかこの状況が謎のハイテンションのまま、ちょっと思い浮かんだ面白い設定を元に書き出した見切り発車的な小説に似てるなって思っている。

 どう収めればいいんだろう……っていうあれ。


 例えば、僕が黒服の組織のボスならば、6人でもなかなか倒せない白服の男を一瞬で蹴散らして、『お前達にはまだ早かったか……』とかいっておけばいい。そのあとは白服の彼を捕虜にするか適当に気絶させて全員で引き上げればいい。


 逆に白服側の人間なら"見てください!我々は悪の組織です"と公言していているような黒服どもを蹴散らして、『新人と言えどこのくらい倒せなくてどうする』とでも叱って終わりだ。そのあとは、まだ成人していないように見える黒服達を連行するか『雑魚だから捕まえるに値しない』ということを偉そうな言い片でほざいて帰宅を促せばいい。



 だが両方から『何者だっ!』状態の現状、どちら選択できる選択肢ではない。


 例えば、何も関係ない通りすがりがノリで黒幕ぶっている場合はどうするのがベストだろうか?


 大人しく降伏する?……一番あり得ない。降伏したら連行されそうな雰囲気出し連行されたら少し遅れるくらいじゃ済まない。これ以上仕事に遅れたら解雇されてしまう。自惚れじゃないけど、解雇されても結構荒事に強い僕ならこの無法地帯たる彩南町でも働く場所に困ることはないだろう。


 そもそも僕は黒幕ぶってみたが一体どういう立場の人間なのだろうか。本当ならばもう少し考えてから参加しても良かったような気がするけど、普段から考えていてもこんなベタな展開に絡まれることなんてもう一生無い。現に彩南町には10年以上前から住んでいるがこんな絡まれ方をしたのは今日が初めてだ。



 これはアドリブで三柊家の"アレ"を狙う第三勢力の人間という設定を演じきるしかない。そうだな。アレは元々我々が所持していたものだったが盗まれて……いや違うな。

 僕はアレについて何も知らない。だからカマをかけて探りつつ曖昧な言い方で話を誘導しているけど、それには限界がある。

 いつボロが出るかわからないから、アレの力を使ってとんでもない計画を行おうとしている組織の人間くらいが丁度いいか。



「ふっ……貴様らは何も知らんようだな。まあ、"アレ"をお前達のような餓鬼が知る必要はないがな」


 みんなで話している中でお前は関係ないから秘密……と言われたらムカつくだろう。関係なくてももしかしたら関係しているのに秘密にされているかもしれないと考えるかもしれない。

 声や身長、骨格から見て黒服の男女は高校生か大学生、そのくらいに見える。僕が貼り付けにした大男は20後半くらいだとは思うが、思春期に子供など少し疎外感を感じさせてやれば言動を誘導することくらい容易い。

 身長も伸び行動に責任が持たされるようになり大人と比べる思春期は特に子供だから駄目、関係ないと言われると反抗したくなるらしい。僕にはそういうのはなかったからわからないけれど、相手の思考を読む能力をもつ知人がそんなことを言っていた。


 何も知らないようだと言って興味を煽りつつ知る必要はないと逆説的な言い方をする。これは国営放送の昼ドラの悪役のセリフをパクらせてもらった。これで興味がわからないわけがない。しかも凄く悪役っぽくなかっただろうか。

 こんなに頑張って演じるなら、衣装もそれらしい物をきてやってみたかったがそんなことに人生をかけてない僕は早着替え技術も持ってないし、そもそも着替えを持ち歩いてもない。


「……その通りだ。俺を襲撃したのは不問にしてやるからアレを探るのはやめとけ」


 ナイス!セリフだ。カマをかけただけで情報漏らすし戦闘もできないけど、セリフは素晴らしいと思うよ。

 まさにそう返して欲しいっていうセリフだった。



 正直、平塚のことは飛べる無能くらいに思えてきた。最初はもしかすると僕のような人間かもしれないと思っていた。

 空から降りてきて職質してきた時や5人と戦い始めたくらいまでは。

 もしかすると、思考を読んだり、嘘を見抜く能力で空を飛んでいた連中まで含めて全員、能力以外の力で飛んでいたのでは?と思った。磔にされてからもほぼ喋らない姿からこちらの様子を伺って出かたを見ているのかと思った。

 カマをかけると馬鹿みたいに情報を漏らすのも技と嘘の情報を出しているのかと思った。

 だがどう見てもそれが僕の深読みだったと思えてきた。


 多分ただの馬鹿だ。


 しかし、もしも平塚が僕を上回る演技派の人間で全ての情報が嘘だったとしても僕に何も損害はないということだ。

 せいぜい帰るのが遅れて怒られるかもしれないし、そうなったら『悪の組織ごっこをしている餓鬼に絡まれて遅れました』と言えば許してくれるかもしれない。それでも許してくれなさそうだったら屋敷の坊ちゃんに菓子を食わせて僕を許してくれるように言わせるとでもしようか。



「関係ねぇ!アレだがなんだか知らねえが、それがアイツを取り戻すために必要なら全員ぶっ飛ばして話してもらうぜ!」


 先ほど火炎を操っていた青年がそんなことを言い始めた。能力は性格に影響するのだろうか。暑い炎を操るだけあって性格も熱血ときた。

 時に昔、朝の情報番組でみた"能力占い"とやらももしかしたら当たっているのかもしれないな。

 火炎能力者は熱血。飛行能力者は危険知らず。テレポーターは冷静で、結界能力者は傲慢。僕は傲慢ではないから当てにならないなと思ってみるのをやめたけど案外そのほかは当たっているかもしれない。


 そもそもなんでアイツとやらを探すことになったのだろうか?最初はただの行方不明で白服の連中が行方を知る手がかりなのかな?くらいに思っていた。けれど取り戻すときた。

 もしかすると、この彩南町で起きた話ならば、探し人は白服の連中が所属する組織に誘拐ないし軟禁なりされているのだろう。それで白服の男を攻撃したのは、何か確証があってのことだろう。

 そうじゃなければ道を塞いだ後、『僕たちの仲間を知りませんか?』と聞けばいい話だ。猿でもあるまいし確証もないのに見つけた端から関係がありそうという馬鹿馬鹿しい理由でいきなり攻撃するわけがない。


 彩南町で人がいなくなるという現象が起きた時、家出や旅行、引っ越しを疑う前に誘拐か殺人だと考えるのが確実だ。

 彩南町がどういう町から分からず外からやってきた多少腕に自信がある武力組織が半日で壊滅するなんて話は耳が腐るほど聞いてきた。


 きっと彼らも"遊び"が行き過ぎて目をつけられてしまったのだろう。一人しか連れ去られていないというのならば最高にラッキーなことだ。ただの飛行能力しか使わない雑魚に5人がかりで戦う程度の実力しかないのならばさっさと仲間を見捨て逃げるべきだ、と僕は思う。


 彩南町に住んでいる住民は8割はテロリストだ。2割は何を考えているのか山岸ベーカリーのように商売をしにきた人間と、僕や屋敷の人間のように理由があって土地を出れないという人だ。中には先祖代々の家を治安が悪いくらいの理由で出ていけるか!という頑固ジジイもいたかもしれないが実力がない場合はまず生きていけない。


 そんなロクでもない人間が闊歩する地域だけあって○○家や○○組呼ばれる超能力者の武装組織が存在する。

 違法な薬に製造禁止の武器、武力そのものだったり、中には人身売買までしているところもある。


 そういう碌でもない人間達が集まった犯罪組織の傘下には、将来の構成員候補である非行少年少女が、カラーギャングという形で存在する。


 一見ただの民家に見えても中に住む人間や持ち主がどんな人間かわかったものではないこの町において、碌でもない人間でも自重して必要以上の破壊は行わない。

 しかしカラーギャングの連中は違う。

 そもそも彩南町のテロのほとんどは、彼らが原因だ。脇目も振らず人目も気にせず町のあちこちで起こすテロは時には組織同士の抗争へ発展する。


 最初は悪の組織ごっこでもやっているのかと思うくらいの雑魚だったので気にしなかったが僕は彼らがカラーギャングの関係者なのではないかと思い、少し冷や汗が出てきた。

 カラーギャングの連中は弱いが数はめちゃくちゃ多い。こいつらをここで蹴散らしても第二、第三の魔王が立ちふさがるように永遠に絡まれ続けるような気がしてきた。



「そういえば、君はアレについて知っているのかな?」


 僕はリーダー格の青年に質問をした。

 熱血火炎能力者くんは、知らねえと言っていたが、リーダー格なら知っているかもしれない。


「アレがなんだかはしらねぇ……いや知らないですが、俺たちは仲間を取り替えしに来……ました」


 そう考えてした質問だったが杞憂に終わった。どうやら何も知らないらしい。

 人質がいるおかげか、少し荒い口調がでながらも冷静に返してきた。

 なるほど、これは人質がよかったのかな?いや。先にいくらか危害を加えてこっちが本気でやりかねないことを見せたのが良かったのだろう。


「ふぅん……興味ありそうだね」


「…………」


 だんまりか。それとも本当は知っているけど僕たちが言っているアレと自分が知っているものが同じか見極めようとしているのか?


「大きさはこれくらいの」


 全く知らないが指揮者のようにまるで舞台役者の如く平塚の顔を観察しながら手を動かして行く。

 平塚はみるみる顔が歪み尋常じゃない汗をかいて顔から血の気を引かせ始めた。



「やめろッッ!!!!!」


 手を動かし始めると先ほど言った脅しも忘れたかのように本気で声を張り上げた。

 巨大ロボットとかだったらどうしようと思ったがあたりか……。


「だが断る」



「……何故、こんなことをする!アレは安易に外に漏らしていい存在じゃないってことをアレを知ってる、あんたなら分かるだろう!」



 はぁぁ……とついため息をつきたくなった。

 三柊家はとんでもない新人を雇ったようだ。僕がアレを知らずカマをかけていることを考慮せず、アレというものが『安易に外に漏らしていい存在じゃない』ものという事を態々教えてくれたようなものだ。

 有り難いね。無能で助かるよ。


 さて、ここまでじっくりと話したわけだが、もちろん何も考えずダラダラ話していたわけではない。

 話をどう収めるか考える時間稼ぎをさせてもらっただけだ。


 思いついたので早速、やらせて頂こう。

 ……と、その前に。


「ここで有名な話だが……まあ、君達のような者は知らないか」


 急に話を変えた僕に当惑しているようだ。当たり前か。

 これから話を納めるために行動をするが、もちろん人を殺したりする予定はない。となると、平塚は組織に戻り黒服の連中のこと、そして僕がアレについて知っていたことを報告するだろう。さて、ここで僕がさも真実のように嘘を言ったら、彼らはどのような反応をするだろうか……。


 どうせ、僕はこの町から動けないのだから、また外に行くときになれば絡まれるだろうし、長い付き合いになると思って軽いジャブを打たせてもらうとしようか。


 ちらりと視線を黒服の餓鬼達に向けて一拍遅れて続きを話す。



「古来より魔術、悪魔の召喚、何にせよ強力な力には代償が必要だ。わかるね? では、これは知っているかな……」



「な、なんの話をしている」


 なんの話だとは言いながらもある程度何を言おうとしているのか、どちらも想像がついたらしい。動揺しながらもまさかというような驚愕の表情を浮かべいるものもいる。





「    ……"アレ"の使用には人間の魂が必要だということを……ね」


『ここまで言ったら私が何を言いたいのかわかるね……?』と付け加えてちらりと平塚を見た。


「……な……んだと!?」

「まさか……!?」

「…………!?」

「うそっ!?」

「そんな……」




 アイツとやらが死んでいるのを想像したのだろうか。


 悪魔を召喚する儀式のように悍ましい儀式に使われた様子を想像したのだろうか。


 あるいは魂を吸われて苦しむ様子を。


 やれやれ、察しが良さすぎるのはどうかな?

 まさか僕が本当に第三勢力の人間だとしてアレについて知っていたとして、そんな重要な情報を意味もなく教えるとでも思うのかな?僕だったら、何故そんな情報を教えるのかと言う点が気になるところだが、まあ、武器で武装していれば格上にも勝てるとか思ってそうな黒服共にはそんな考えは思いつかないか。



「知らないっ!そんな話、聞いたこともない!!」



 平塚に向けられる6つの視線。憎しみと怒りと殺意が混ざったような視線に自身の無実を主張する。




 だが彼が知らないのは当然だ。


 ……なんせそんな話、今作ったし。


 僕が白服の男の立場ならじゃあ、下っ端でもない部外者の餓鬼どもに教えているお前は何なんだよと、突っ込みたくなるがそんなことを思う隙もなく、本気で信じているようだ。


 ちょっと、双方純粋すぎやしませんか?


「まさか……君のような下っ端に話すと思うかい?」



 小馬鹿にするように言っているが、そんな真実は実際あるかわからない。

 アレがものなのか人なのかわからないが、人の魂を使って強大な力を施行するアイテムに心当たりがないわけではない。実際には見たのは寿命を縮める代わりに自身の持つ超能力を変えるというものだが、外に出せない程の何かというのだからそういう効果があってもおかしくない。平塚が組織に戻ってアレが魂を吸い取るのかと質問したとしても、本当だろうが嘘だろうが、そんなわけないというだろうしね。


 まさか、はいそうですよ。なんて言わないだろう。カマをかけている僕にペラペラ話してしまう新人ではあるまいし。


「ということはミカは……もう」


「そんなのありえないよ!だってミカは捕まってもすり抜けられるはずだよ!今頃逃げてるに決まってる!」


 なんでこいつらはこいつらで個人名を人の前で出すのだろうか。シンジ然りユナ然り。馬鹿なのだろうか?最初、シケンとか名前ではない呼び方をしていた意味は?追い詰められたからこそ、不利にならないように呼び方や会話には気をつけるべきであるだろうに何故そう、簡単にぼろぼろと情報をセルフ開示できるのか理解に苦しむ。


 まさか聞こえてないとでも思っているのだろうか。それとも自分が特別な存在だから調べられても痛くないとでも思っているのかな。


 それに、ミカ……?女みたいな名前だな。

 すり抜けるということは、透過系の能力ってことで確定かな?

 だとしたら体を霧や液状にする自然系能力か身体をまるごと物質界から切り離す霊体系能力だろう。


 その行方不明のミカ"君"だか、"ちゃん"だが知らないけれど、一言言ってやりたいね。『君の能力を仲間が喋っちゃってますよ』って。


 僕がミカだったらブチギレるね。


 お前達の口は閉じられないのかってね。


続きます。

俗的な言い方ですが、面白かったら感想や評価を頂けるとモチベ上がります。



名前をミスりました^ ^;

修正点:

2話 ミカ→ユナ

3話 攫われた人がミカ

3話 断る→だが断る

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ