7.5 王雅の過去回想 1
小学生としての50メートル走で世界記録をだして調子に乗っていた。その後も、様々なことに挑戦することを繰り返していた。すぐに、どんなやつでも同年代なら負けるはずがないと確信していたし、大人相手でも十分戦えていた。だが、あっけなくそれは崩れ去った。いきなり現れたレコーダーと名乗る同い年の男はあらゆる競技、勝負で俺に勝った。
「なんでも言うことを聞く。」
だから、また、勝負したいと言った。
「なら、大宮国際高校にこい。俺以上のやつに出会えるぞ。そこで、そいつを救ってやってくれてないか?」
「きっとお前にとって最高の存在になる。」
「救う?」
小学生の俺には全然わからなかった。
その後、そのレコーダーという男には会えず進学した。
クラスのなかで異彩を放つ生徒がいた。
何千のものを殺してきたような目。
全てを失った気配。
こいつだと思った。
ボール投げですぐに確信に変わる。力を隠してることも。
50メートル走で負けるのはあの時以来だった。かなりいい勝負ができる思ったが。
「高校生活がもっと楽しみになるな。俺はどこまで高みに行けるだろうか?」
負けた悔しさは次の原動力になるのを心臓で感じた。