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生きる意味をください  作者: 死と断絶の作者
失った感情、変わらない意思、見つけたーーー
8/18

7 努力の意味




クラスメイト全員で円陣を組む。ぼっちの自分も円陣を組まなければいけない。あまりにもやりたくない団結方法だ。本日三回目である。


「一位なら、優勝だ!全員一丸となって頑張るぞ!!」


「「「おーー!!」」」


体育祭の終わりも近づき、最後の全員リレーが始まる。一位ならば学年優勝らしい。一人、半周の100メートルを男女交互でバトンを繋いでいく。アンカーは自分だ。しかも、アンカーは一周分走る。さすがに、もう目立つ走りはやめよう。全校生徒に見られるのはまずい。話題になるのも面倒だが、前回以上に無理をすると心臓へのダメージが大きすぎる。


「しっかり、誰にバトンを渡すのか確認しておいてくれよー!」


選手名簿に生徒が集まる。

「あれ、誰からもらうのだろう?」

そう言えば、誰から受け取るかわからないな。


「私が絶対に想介に渡すから、一位とってきてね!!」

結衣が笑ってくれる。逃げた自分に話しかけてくる。話しかけられるのがこんなにも、怖いことになっている。

また、逃げてしまった。もう、嫌だったから、


入れ替わりで王雅が結衣に話しかける。

「一位で渡すが、あまり気にするなよ。」


「プレッシャーが重いです!

そっか、王雅なら、安心だね!でも私のせいで負けたらどうしよ。しっかり走れるかな?」



選手名簿を見ると、王雅ー結衣ー想介の順になっている。どの順位で回ってきてもそのままの順位でゴールしよう。あからさまに、手を抜いて、バレた時の言い訳を考えておこう。

半周なので、選手は二箇所のところでバトンを繋ぐ。生徒は二手に別れる訳で、俺の前には、二つ前の王雅がいる。


「なぜこの順番にした?」自分が最も最悪に思える並びなので、文句をつける。


「単に、想介にアンカーをやって欲しかっただけさ。順番決めのとき、結衣と楽しそうに会話していた腹いせではないよ。」


「自分にもう、関わるな。」


「勝つまでは絶対いるさ。」


「次があるとは限らないけどな。」


「また、想介に勝負を挑むよ。待っててくれ。」

スタートの合図がなる。


「さあ、応援しよう!」

「この全員リレー、想介が本気を出せば優勝できるぞ。」


「もう本気では走らないし、勝負した時の50メートルで目一杯だ。これ以上の距離を走ると死ぬんだよ。」

冗談みたいな声で言った。本当だと言っても信じないのだから。


「感情は力だよ。想介なら走るさ。」

思い切り王雅の服を掴んだ。思考が止まり、体だけが動いていた。その言葉は、何よりも重いぞ。


「おい。いつ聞いた?」


「怖いなー。たまたま出た小学生大会で俺に勝ったやつだよ。知り合いか?」


「小学生の時か。すまなかったな。知り合いを探していてな。現在は10歳くらいだろうが。」


「は?どういうことだ?」


ここからは無視した。最優先事項の手がかりになると思ったが。


「さあ、そろそろ行ってくるよ。」


王雅がバトンを受け取ると、ビリだったクラスが追い上げる。外から見ると想像以上に速い。いや、前回の勝負から相当な練習をしているのだろう。負けたままでは終われないタイプが丸見えだ。バトンゾーンに入るときには2位になっていた。


次の走者の結衣がバトンを受け取り、走り出す。速いとは言えないが、しっかり練習した走りだった。僅差だが一位になることはできないが差があるので3位以降に落ちることはないだろう。

まあ、結衣は一位になりたかったと気負うかも知れないが。さすがに今回だけは、本気を出す訳にはいかない。



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