1 最後の意味
最後まで戦った自分も心臓を貫かれる。
どうやら、英雄にはなれないらしい。
それでも、死の覚悟はあったので思い残すことはない。
もう、死ぬことは怖くなかった。
長いこと、死の隣を歩いてきたのだから。
ここで死ぬことになるが、
希望を、
地球を、
大好きな人を守れたのだから。
これでいいんだ。
先に死んだ仲間たちと一緒に地獄にでも行くとしよう。
全てを出し切ったんだ。仲間たちも許してくれるはずだ。足元で死んでいる仲間たちを見て思った。
そっと目を閉じると、今までの思い出が流れていく。
独りだった時の教室から三年間が思い流れる。
転校を繰り返してきた自分はいつも独りだった。
ずっと独りで友達を作ることができない自分に声をかけてくれる人がいた。
それからはずっと、仲間や大好きな人に造ってきてもらったんだ。
何もなかった空っぽの自分から。
マンガみたいな世界のなかで、地獄のような日々を乗り越えてきた。
ああ、
何人、人を殺したのだろう。
何回、泣いただろう。
何度、失っただろう。
それでも、、、
何人も助けたんだ。
何回も笑ったんだ。
何度も抗ったんだ。
今まで生きてきた意味にあったのだろう。
最後まで探し続けた「生きる意味」は、
最後のこの時にも、、、
大好きな人の笑顔が思い浮かぶ。
いつも助けてくれた最愛の人。
生きる意味の全てとなってくれた人。
優しい走馬灯だった。こんな夢で終われるなら、、、
心臓が飛び散った後は、気持ちがよかった。
心と身体が軽くなっていくのが感じられる。
だって、やっと終われるんだから。
マンガのような地獄はもう続かない。
門は閉じれた。
守れたんだ。
やっと大好きな人にも恩返しできた。
さあ、目を閉じて夢の続きを見ようか。
みんなと笑える世界の続きをーーー。
目が覚めると、いないはずの大好きな人が隣で倒れている。
「どうして、、、?」
大好きだった人。
ぁぁ
守れたはずだった人。
ぁあ
生きる意味となってくれた人。
ああ
自分の全てだった人が隣で死んでいた。
ーーーああああぁぁぁーーーー。
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真っ黒になった。
ーーーを拾い上げるだけで、最後の敵は血の雨を降らす。
感情は無かった。
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大好きな人は動かない。
血の雨は止んだが、自分以外の仲間は全て死んでいた。
大好きだった人も。
後から攻めてきた敵は残らず殺し、地球が真上見える此処で、独りとなった。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
絶望だけが笑っている。
死を選んでもよかった。
終わりにしてもよかった。
大好きな人の亡骸を抱えて、自らの手で終わりを告げようとした。
そうしたかった。
そうしたら、どれだけ楽になれたのだろうか。
だが、今、終わらせようとしていたのは、大好きな人の命だった。自分の身体に入っていたとしても自分のものではなかった。
生きる意味だった人の命。
だから、
自分を見つけてくれた人
自分を育ててくれた人
自分を愛してくれた人
自分に懸けてくれた命のために
生きる義務がある。
大好きな人の命で自分はーーー。
生きる意味はなんだろうか??
「誰でもいい。
生きる意味をください。」