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奴隷

高級宿屋の一室で目覚める。太陽の位置からして昼前ってところか。ベッドが気持ちよく、もう一眠りしたいところではあるが約束がある、起きるとしよう。


「あー。おはよう」


アヤに声をかける。


彼女は隣のベッドに座って、じっとしていた。


返答はなし。やっぱりね。期待してなかったよ。


「これから飯を食べに行く。着いてこい」


「はい」


服を軽く整えてから部屋を出る。


一階の食堂?レストラン?に行きステーキを食べた。うまし。


今日もここ泊まろう。


昨日貰った金で支払いを済ませ、宿屋を出る。


「よーし、奴隷買うぞ!」


青空の下に宣言する。


一晩悩んで心を決めた。きっと大丈夫。


ブルート商店に向かう道すがら、服屋に寄り普通の服に着替えた。


ブルートに紹介された案内人に服を聞いてみると「よくお似合いです」とのこと。よかよか。


そしてやってきました奴隷商店。


街のはずれに建つ蔦の生い茂った洋館。遠目から見たら廃墟でしかないが、よく見ると手入れはきちんとされているようだ。つまり蔦は店長の趣味、なのか?案内人に聞いてみても「私には分かりません。これで失礼します」と言われてしまった。


疑問に思いつつ、中に足を踏み入れると店員が飛んできた。


怠けていないし、服装もきちっとしている。ちゃんとした店のようだ。


「いらっしゃいませ、ソウ様。早速ですが支配人がお待ちです。どうぞこちらへ」


知らぬ間に話が通っているようだ。その店員に案内されたのは恐らく執務室。その部屋の扉は外されていた。


理由はわからん。


「支配人、お客様をお連れしました」


「うむ。下がってよい」


そしてこの部屋には俺とアヤと店長こと支配人の三人きりになった。


「お初にお目にかかります。私、ピーター様から蔦の館を任されております、アルフレッド・オギナで御座います」


神経質そうな中年が机を挟んで握手を求めてきた。


「ソウです。こちらはアヤ。宜しく」


「こちらこそ宜しくお願いします」


俺との握手が終わるとアヤにも握手を求めた。


当然アヤは反応しない。支配人は困り果てた顔を俺に向けてきた。


「あー。アヤのことはお気になさらず。早速案内してくれ」


「わ、分かりました。その前に紹介状を拝見しても?」


おお、そうだったそうだった。


俺はアイテムボックスから紹介状を取り出し渡す。


支配人は何も無い空間から出てきたことに驚いた様子だったが一瞬で顔を取り繕い、貼り付けたような笑顔をみせた。


封をあけて手紙を十秒ほど読むと小さく頷き。


「確認致しました。ブルート殿の頼みです。私自ら案内させて頂きます」


「感謝する」


「いえいえ。それではこちらへ」


支配人に連れられ地下へ向かった。


そして目の前に広がったのは檻、人、檻、人……。日本人の価値観からは決して容認出来ないような光景だった。


「地下一階は見目のいい性奴隷やなんらかの技能を持った奴隷のエリアとなっております。地下二階は一般的な奴隷。地下三階は労働奴隷とその他となっております」


説明が耳に入らない。これは……いや、このくらい慣れなくちゃな。


「お客様?」


「すまん。聞いてなかった。何だっけ?」


「お客様のご希望はどのようなものかと、尋ねました」


「ああそうか。希望は特にない。最低限の読み書きが出来れば良い」


「なるほど。畏まりました。一階には読み書きのできる奴隷しかおりません。ご自由にご覧下さい。……全員起立!」


支配人の合図で全員が起立した。


最低限の教育は出来てるようだし、どいつでもいいんだが。でもせっかくだし見てみるか。


近くの檻に近づき顔を伺うと、驚いたことにえらく美人だった。


……ほう。真剣に選ぶか。


合法だしな。購入したらこう、色々しても問題ないわけだ。


ヤヴァイ。異世界ヤヴァイ。


もっと見てみよう。


隣の檻にいたのは爽やかマッチョメン。ステータスを覗く。と、意外なことにステータスはそうでも無い。


ああ。女性向けの性奴隷ってことか。


見た目とステータスは一致しない。これからはステータスも見てみよう。良いのがいたら育ててみるのも一興かもしれない。


顔みてステータス見て、次。を繰り返す。


こいつこのレベルでこれかよ。伸び代皆無。


防御は悪くないけど育てても楽しくなさそう。


顔は良い。だがステータスがゴミすぎる!


等、いい人材が見つからない。やはりアニメのように美人でステの高い奴隷なんかいるわけない。


なんて、そう思っていた時期が俺にもありました。


俺は見つけてしまった。


目の前に立っているのは14歳くらいの少女。幼いながらも目鼻立ちはしっかりしていて非常に整っている。ふさふさの茶髪からはケモ耳がピンと立っている。獣人ってやつだ。それは良い。もっと好みのお姉さんもいたしな。だがこいつはステータスにとんでもない爆弾を抱えていやがった。


こいつ、レベルに対してステータス高すぎね?このステータスがレベル百になったら多分俺を超える……。


なんだよこれ。有り得ないだろ……。


ここはゲームじゃない。だからバランスを保てるように素ステの上限があったりしないんだ。


ブルートは言っていた。魔法は才能だ、と。リセマラが出来ないこの世界、ステータスも才能か。


だからってゲームの上限超える才能とかいちゃダメだろ!俺が死ぬ!


「し、支配人。こいついくらだ?」


「檻についているプレートに書いてあります通り八十金貨です。書き間違えではありません。高すぎるのは重々承知で御座いますが、やんごとなき事情により値下げすることはできません。申し訳ありません」


高すぎる、高すぎるだと?この可能性が『極彩龍』と『コカトリスの翼』で買えると?


笑うしかない。


俺は即決した。


「買った!」

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