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ビフロム王国

七日前、魔王を殺し損ねたあの日から、俺の心は烈火のごとく怒りで満たされていた。


それは今、国王様を前にした時でも変わらない。


「そのような事が。今の話に嘘偽りはないか?」


「は。嘘偽り誇張一切御座いません」


玉座に身体をあずけ、顎髭を撫でるビフロム王国国王、ローガン・リアウード・ヲー・ビフロム様。


「ふぅむ。謎の男とやらに心当たりがある者はおるか?」


国王様は貴族達を見渡す。それに答えられる者はいなかった。


「で、あるか。まずはその男を探さないことには魔王討伐は進まぬであろう。宰相主導で調査を始めよ。最優先だ」


「は。そのように」


「うむ。しかし、その男は本当に謎だな。このような宝剣を残していくとは。まさか忘れた訳ではあるまい」


国王様の手は『フロストソード』が握られていた。


今存在する手がかりは、神が創りたもうたとしか思えない顏の似顔絵と、この『フロストソード』のみ。


魔法大臣と魔法学校長が協力して調べても名前しか分からなかったそうだ。その名前も古い文献から見つけたもので合っているかは半々らしい。


役に立たない連中だ。……俺ほどでは無いが。


俺は壁で隔離された時、煙幕のようなものを張られた時、何も出来なかった。認めるのは癪だが、きっとあいつは俺より強い。


だが人として信用できるかは別だ。魔王を攫って何をする気だ?嬲るのか?協力するのか?支配するのか?


やはり、魔王を殺すのは俺達でなければならない。


決意を新たにする。


「ルーモエ遺跡の調査を優先すべきかと」


「早いうちに先月即位した帝国皇帝陛下にご挨拶なさらなければ」


「我が領の謎の魔物の件もお忘れなく」


おっと。考えている最中も話は進んでいたようだ。ちゃんと聞いとかないとな。ノーマンに怒られる。


「静まれい。宰相はどうするべきと思う?」


「帝国には少なくない出資をして頂いています。今月中にご挨拶に伺うべきかと」


「そうだな。同意見だ。勇者一行には準備が出来次第帝国に向かって貰う。何か意見は?……勇者達よ。そういう事だ。行ってくれるな?」


「は。謹んでお受けします」


「では下がってよい。また会おう」


退出して、与えられた部屋(豪華すぎて自室とはどうしても思えない)に向かう廊下にて。


「いやー。帝国に挨拶って、そんなことしてる場合かねぇ」


盾使いのノーマンが口にする。


それに反論したのは魔法使いのミラ。


「帝国のお陰で買えた装備やアイテムもある。恩知らずな真似はできない」


「彼と魔王を探しに行きたいとは全員思っているはず、です。でも闇雲に探してもきっと見つからない。なら私たちに出来ることを一つ一つしなくちゃならない、と思います」


間を取り持とうとするのはヒーラーのアーニャ。


「よくわかんないけど国王様の命令に従ってればいいのよ!」


「おれもエマと同じくだな。国王様が間違った判断をするわけが無い」


俺の言葉にノーマンが呆れた顔をする。


「あのね、俺は皆の意見が聞きたいの。ちゃんと話聞いてろって言ったよね?ホントにただの駒にされちまうぞ」


「独楽?何故独楽?」


「駒。チェスやゲームの駒、です。」


「そうはならない。私達には拒否権がある」


「あーもーむつかしい話しないでよー!新しくできたのびるアイスのお店の話にしよ!」


言い合う様子を眺めて、頷く。


個性は強いが何故か喧嘩はしたことが無い五人組。俺達ならばやれる。次こそは!

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