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真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~  作者: 疾風海軍陸戦隊
吹雪の旅編
33/63

天水警邏隊不足金事件

この話は吹雪たちが孫家の屋敷をでた時のことだ。天水では吹雪の創案した警邏隊の活躍によって治安が良くなり、悪人も少なくなっていた。吹雪が旅に出ているときも治安の良さは維持されていて天水は平和そのものだった。


月の城の廊下で二人の女性が歩いていた。そう、吹雪の部下であり仲間の桜花と夕張だ


「なあ、そう言えば昨日隊長から手紙が来たよ。何でも今、呉の荊州にいるらしいっす」


「荊州っというと・・・・・袁術の領地ですね。確か最初は陳留ですから・・・・一周回る感じだな。」


「そうっすね。そう言えば隊長の手紙によれば新しい仲間が増えるらしいっすよ」


「ほんとか?」


「ああ、手紙に書いてあったすよ。」


「へ~楽しみだね・・・・・ってそう言えば雪風の姿が見えないわね」


「ああ、雪風はなんか休暇で今、洛陽に里帰りに行ってるっすよ」


「洛陽?洛陽っていうと陛下が住んでいるところじゃない。あいつの故郷、洛陽だったの?」


「さあ?よくわからないっす。」


「そう言えば洛陽にいた十常侍。あいつらなんか陛下の怒り買って2人残して粛清されたらしいよ」


「まじかよ!世の中いろいろあるんすね~で、だれが残ったんだ?」


「何でも、張譲と張忠らしいよ」


と、二人が話し合っていると、副長の部屋である斗志の部屋に着く。すると・・・・


「う~~~~~ん」


何やらうめき声が聞こえる。


「ん?なんか変な声がするな。ここは斗志の部屋か?」


「具合でも悪いのかな?斗志入るわよ」


そう言い二人は斗志の部屋に入る。そこには難しい顔をして帳簿を見ていた斗志がいた


「どうしたんすか斗志?眉間にしわが寄っているっすよ」


「そうですよ。ずうっとそう言う顔をしていたら、本当にそう言う顔になるよ」


「余計なお世話よ。で、二人ともどうしたのよなんか用?」


「いやなんか呻き声が聞こえてさ。なんだろうって見てみれば斗志がね」


「で、どうしたのよ斗志。そんな顔をして」


「・・・・・・合わないのよ」


「合わない?何が?」


「警邏隊の資金・・・・足りないのよ。いくら計算しても足りないのよ。桜花あなた確か給金とかの勘定とかやってたよね。これどういうこと?」


「足りない?おっかしいな~確かに計算が・・・・あれ?本当だ足りない」


「でしょ?貴女ちゃんと計算とかしたの?・・・・・・あ!そう言えばあなた勘定係雇ったって言っていたわね」


「そう言えば、最近他の仕事とか忙しくなったから、手伝いに勘定係一人雇ったっけ」


「…‥隊長の許可なしで?」


斗志の目がきつくなる。桜花は慌ててこう言った


「いや、隊長が旅に出る前にちゃんとその許可は取ってあったんすよ。そいつ隊長がいる時はまだ私の手伝いとかだったすんけど、呑み込みが早いから私の代わりに勘定係代理をやってるんすよ」


「そうなの。確かその子の名は・・・・」


「李権っす」


「そう、じゃあ、その李権を呼んできて」


「分かったす」


「あ、私も行くわ」


そう言い桜花と夕張は斗志の部屋を出た。この時桜花は何か嫌な予感がしたのだ。


「ねえ、桜花。李権って、確か吹雪が旅に出る前に入隊したあの商家のボンボン娘のこと?」


「ああ、そのボンボン娘だよ。でもあいつ。結構努力家でさ。いつも書物とか見て勉強してたよ。私と違ってな。」


しばらく二人が探していると隊舎に李権がいたので桜花は彼女を呼ぶのだった。

勘定主任である桜花に呼ばれ、さらに副隊長である斗志が呼んでいたと聞き李権は何か察することがあったのだろうか、桜花の顔を見て表情が固まった。そして、固まった表情のまま二人のところに来た。


「な、何ですか主任?」


幸い隊舎には誰もいないため桜花は・・・


「李権。なんで呼ばれたかわかってるっスか?」


堂々と訊くのだった


「・・・・警邏隊のお金のことですよね」


「そうっす。そのお金どうしたんだ?」


「・・・実は・・」


李権が言うには足りない資金は何でも自分の借金返済に使ってしまったらしく今その足りない資金を実家に連絡して送金してくれるよう手紙を出したというのだった。

桜花はあまりの理由に呆れてしまう


「はぁ~なるほど・・・・で、その送金についての手紙はいつになるんすか?」


「はい、そろそろ着いているころだと思うので、不足金も解決します」

 

いつ出したのかわからないけど、李権の言う通り、そろそろ着いているころだろう。


「とにかく私は副長にそのことを報告します」


覚悟が出来ているのか李権は斗志の所に行ってしまう。そして斗志に不足金について質問されると李権は


「・・・・・・借金返済に使ったですって?・・・・・李権。あなた何をしたのかわかっているのかしら?何か弁明があるなら聞くけど?」


そう言い、李権は斗志に睨まれる。その怖さに小さな声でヒイッ!と声を上げてしまう。


「まあ、まあ、斗志そんなに睨むなよ。そんなんじゃ怯えて喋ろうにも喋れないっすよ」


と、桜花がなだめる。斗志はため息をつき


「・・・・・わかったわ。李権、話してみなさい。」


「い、今から実家に文を出して、使った文のお金を送ってもらいます。それでなんとか不足金の穴埋めをしますから、もうちょっと待ってください」


と、李権が恐る恐る言った。


「どれぐらい待てばいいんの?」


「に……二十日ぐらいなら……」


李権は震えながら言うが


「駄目よ。それじゃ遅すぎるわ。十日よ」


「そんな固いことを言うなよ斗志。せめて間を取って十五にしてくれねえか?」


「桜花なんであなたが口を出すの?」


「ん?だって李権は私の部下だしな。それに十日も十五日も大して変りないっすよ。だからこのとおりっす!」


「斗志。私からも頼む15日間だけ待ってくれないか?」


桜花と夕張が斗志を説得する。そして二人の熱意に斗志は根負けしたのか


「はあ~わかったわ。李権、この二人に免じて十五日だけ待ってあげる。ただし・・・・・それでもだめだったら、その時は・・・・」


斗志は右手で、首を切るように動かした


「まさか死罪っすか!?」


「まさかそんな!!」


桜花や夕張の言葉を聞いて李権は青ざめる。しかし斗志は首を横に振って


「違うわ。二人とも。そんなことはさせないわ」


その言葉を聞いて2人は安心するのだったが・・・・


「もし、来なかったその時は李権には責任を取ってこの警邏隊をやめてもらうわ」


斗志は怖い形相で李権を睨む


「わ、分かりました・・・・」


李権は顔を青ざめながらそう言った。





「あの…主任。私別に副長の言った10日でもよかったんですよ」


「甘いっす李権!!もし、届かなかったらどうするんすか? そう言うこと考えたことあるのか!?」


「そう言われると、ありません」


「えっ、そうなの?」


意外な返答に夕張は驚く


「あのな李権。もうちょっと、そう言う危機感を持ったほうがいいわよ。もしかしたら、文が送り返されてくるってことだってあるかもしれないんだよ」


夕張は心配そうに言うが


「送り返されるなんて、そんなことないですよ馬鈞様」


李権は笑顔でそう言ったのだったが・・・・・・数日後、手紙が送り返されたのだ。李権は、送り返されてきた文を見て、真っ青な顔をしていた。そりゃそうだ自分の生活が懸かっているんだから


「ど、どうしよう・・・・どうしましょう主任」


「大丈夫っす。もう1回送ってみるっすよ李権。まだ日もあるから、きっと実家の方も何かあって立て込んでいるんだろ」


「わ、分かりました!」


そう言って李権は手紙をまた出すのだった。そして約束の十五日目の朝、李権の両親がやってきて無事に無くなった資金は元に戻り、李権はなんとか解雇にならずに済んだのだった。









一方、洛陽のとある宿の宴会場で、二人の人物が話していた。一人は銀髪で短い髪をした少年のような人物だった。


「さて、まっずはここで1杯と行こうじゃないか、樊稠・・・・いやここ洛陽では銀狼だったかな?」


その男の相手はなんと吹雪の仲間の樊稠こと雪風だった。


「お好きな方で結構です。それと酒は遠慮させてください」


「ほう・・・君が酒が飲めないなんて意外だな」


「いえ、飲めなくはないのですが・・・・癖でして・・・」


「癖?」


「はい・・・酒が入ると性格が不安定になって何をするかはわからないので控えているんですよ」


雪風の片目が少しギラリと光る。その眼を見て男は冷や汗をかく


「ふ、ふふふふこれは頼もしい。しかし驚きだよまさか董卓に仕えているはずの君が私の仲間になってくれるんだからね」


「驚いたのは私も同じです。まさか、「池田屋事件」の黒幕であり、あの、『笑う棺桶』を陰で指示してたり、また劉表様の娘の婿養子暗殺の元締めがまさか十常侍の一人張譲様とは・・・・」


「ふふ・・・漢王朝もいろいろあるというわけだよ」


「ま、私には関係のない事です。私はただ平穏に面白おかしく生きることさえできればいいんですから・・・・」


「そうか。さて、こういう仕事話は終わりにして、今夜は楽しもうじゃないか樊稠君」


「いえ、お気持ちは嬉しいのですが、そろそろ天水に戻らないといけないので…‥では本官はこれにて失礼します」


そう言い雪風はその場を後にする。外を歩く様子を宿の二階から張譲が見る


「ふっ・・・天水警邏隊隊士、樊稠・・・・・あいつの情報力は信用できる。それにしても天水の狼集団と言われた天水警邏隊隊士である彼女も所詮はただの歯牙なき飼い犬か・・・・・それにしても陛下に仕える張忠も馬鹿な女だ。腹黒い奴だが陛下の忠誠しか頭にない。だがいつかこの朝廷を支配下に置き思いのまま動かすのはこの私だ」


張譲が薄気味悪い笑みを浮かべる中、街を歩く雪風は張譲と違った笑みを浮かべていたのだった。

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