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第84話 性力!

 俺が振り向くと眩い光が俺を待っているようだ。


「そうだよ、それでいいんだよ。気持ちいいでしょ」


 光はとても暖かく気持ちがいい。


「ああ、気持ちいいな」


 そうだよ。


 気持ちいいのが一番いい。


 気持ち良くないとダメなんだよ。


 気持ちいいこと。


 気持ちいいこと。


 気持ちいいこと、って。


 ……。




「違う」


 俺は足を止めた。


「どうしたの?」


 壇浦が不思議そうに言った。


「こんなんじゃない」


 俺は向かい風に逆らって歩き始めた。


「何が違うの?」


 壇浦の声は困惑気味だ。


「本当に気持ちいいことが何か思い出したんだよ」


「なんだというの?」


「オナニーだよ!」


 俺は大声で向かい風に向かって叫んだ。


「な、何言ってるの?」


「忘れてたぜ、俺としたことが。本当に気持ちいいこと」


 俺の心の中からフツフツと湧いてくるものを感じる。


「そんなことよりもっといいことがあるよ。そんなの一瞬で終わるじゃない」


 フッと俺は鼻で笑った。


「お前やっぱり壇浦じゃねえな」


「どうしてそんなこと言うの!ひどいよ!」


「酷いのはてめえだ!俺の唯一の楽しみをそんなの一瞬で終わるって言いやがって!俺の性欲を舐めるなよ!」


 俺は空を見上げた。


「俺は!!!エロい!!!」


 なんだろう、この開放感。気分が乗ってきた。いろんなしがらみが一気に解決したような気がする。


「俺は!!!もっとシコりたい!!!」


 自分の体の中心が熱くなってきた。魔力が高まっていくのを感じる。


「覚悟しやがれ!!!このクソ悪魔が!!!」


 俺は両手を吹いてくる風に向けて突き出した。両手に持てる魔力の全てを集中させる。これまで感じたことのないような魔力の集積を感じる。手が痺れるが不思議と痛みはない。手がちぎれてしまいそうだ。


「くらいやがれ!!!俺の全性力だ!!!」


 ブバボオオオオオオオオ!!!


 両手から真っ白い波動がほとばしる。そのあまりの威力に俺の両足が地面にめり込む。真っ白い波動は真っ直ぐ風の方へ向かって飛んでいく。

 

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