第83話 最後の抵抗!
ギリリリリリゴオオオ!
断末魔のような音を立てて緑色の液体が削れていく。最後の一人がフラフラと落ちてきた。竜族の戦士たちは緑色の液体の最期を見届けながらゆっくりと下に降りてきた。周りの人たちも固唾を飲んで事の成り行きを見守っている。
突然眩い光が辺りを包み始めた。
言葉にならないような声というか叫び声というよく分からない音がする。ただただ不快なその音にここにいる全ての人が耳を覆った。
「これはどうやら……一筋縄では……行かないようだな」
俺は頭を抱えながらキャサリンに言った。
「そう……みたいね……」
さすがのキャサリンも苦しそうだ。
「くっ……おい……どうするんだ……」
頭を抱えながらラピスがやって来た。
「さあ……分からない……」
突然、強い風が吹いて来た。その風はさっき俺が火災旋風を最後に食らわせた方から吹いてくる。
「ねえ、尚くん、こっちにおいでよ」
また壇浦の声が聞こえてきた。
「やめろ!もうやめてくれ!」
「どうしてそんな酷いこと言うの?」
「酷いことって……。みんな苦しんでるじゃないか」
「苦しんでないよ。気持ちいい思いをしているところを邪魔されて混乱してるだけだよ」
「うそつけよ!こんなことしてお前の目的は何なんだよ!」
「ウフフ、それは言えない。こっちに来たら教えてあげる」
俺は頭を抱えつつ拒み切れない何かを感じながら一歩ずつ風に押されて後退した。
「そうそう。その調子その調子」
壇浦の声は嬉しそうだ。
「ねえ、みんなどうしちゃったの?」
突然別のところから声がする。リムドだ。
「ああ、リムドか。みんないい気分になろうとしてるんだ」
俺は自分で言っててよく分からないことを言った。
「え?どういうこと?苦しそうだよ」
「苦しそうに見えて本当は喜んでるんだ」
「そうは見えないよ」
「俺は苦しんでなんかない。喜んでるんだ」
俺は自分に言い聞かせるように言った。しかしそれは本当に自分の気持ちなのかよく分からない。だいたい本当の気持ちってなんだ?本当に気持ちいいことってなんだ?世の中の正しさって誰が決めるんだ?好き勝手に生きたらいいだろ。どうせ異世界じゃないか。でも心が晴れない気持ちになるのはなぜだ?
訳の分からない自問自答を繰り返しながら俺は一歩ずつ風に押されていく。




