第82話 最後の力!
ラピスが飛び上がって俺に合図を送ってきた。俺はそれを見て小竜巻をラピスのほうに向けて出した。ラピスはその小竜巻に火を吹きかけた。小竜巻は火災旋風となり、まるで赤い竜のようにのたうち始めた。俺はそののたうち回る竜をそのまま緑色の液体に突っ込んだ。
キュウイイキイイイイイイ!
不快な音とともにパラパラと人影が降ってきた。俺は慌てて下から風を送って落ちてくる人たちを受け止めた。
「こ、これは……どうしたことだ……」
降りてきた人達はラピスと同じようなことを呟いている。正気に戻っているんだろう。
「さあ、早く!飛んで火を吹いてくれ!」
「な、なぜそんなことを……」
竜族の戦士たちは戸惑い気味だ。
「詳しい話はラピスに聞いてくれ!」
さっきからしきりにラピスが早く次の竜巻を送ってこいと合図してくる。
「わ、分かった。ラピスに聞いたらいいんだな」
竜族の戦士たちは次々と空に舞い上がって行った。竜族同士話してもらった方がスムーズだろう。でもラピスだしな……。気をつけろとか、とにかくやれとかしか言わないかもしれない。まあ、いいか。
俺はその後片っ端から小竜巻を放って、竜族の戦士たちが吹く火を飲み込んでいった。そうしてできた火災旋風はまるで赤い竜の如く次々と緑色の液体に襲い掛かっていく。緑色の液体は苦しげで不快な音を立てながら、どんどんとその勢力を弱めていった。緑色の液体に囚われていた人々は、火災旋風で抉れたところからポロポロと落ちてくる。それを緑色の液体を取り囲むように下からの風を送って受け止めていく。
「よし、このままいけばあとちょっとで倒せるぞ!」
作業は順調に進んでいる。さっきまで壇浦の声に動揺していたのがウソのようだ。
「これ最後どうなるんでしょうね」
珍しくキャサリンが先のことを心配している。
「さあ。分かんねえ。けどこのまま突っ走るしかないだろ」
答えになるようなならないようなこと言ってみた。ていうかだいたいお前がそんなこと言うなよ……不安になるだろ。
ラピスが何か合図している。多分これで最後だとでも言いたそうな感じだ。他の竜族の戦士たちもラピスのところへ集まってきた。
ふと振り返るとさっきまで囚われていた人々たちが大勢いて事の成り行きを見守っている。一部からは頑張れって言う声が聞こえる。でもほとんどの人はこれが何なのかよく分かってなくてただぼんやりと眺めている。火事が起きた時の消防士さんはこんな風に見られてるんだろうな、とか思いながら、俺は最後になるであろう小竜巻をラピス目掛けて放った。
その小竜巻はラピスの火を飲み込んで、あっという間に火災旋風に発展すると残りカスのように残っている緑色の液体目掛けて飛んで行った。




