第70話 これって!
「起きるの」
ん?ここどこだ?
「時間がないの。ウチの話をよく聞くの」
お前!神様か?てことは俺死んだのか!
「死んでないの。死にかけてるけど」
で、何の用だよ。
「いいかの、彼奴には悪魔が取り憑いてるの。それを排除しないといけないの」
彼奴って魔王のことか。
「そうなの」
どうやって排除するんだよ。もう俺無理だぜ。こうして殺されかけてるし。
「彼奴の口から悪魔を吸い出すの。それしか方法はないの」
口から吸い出すってそんなこと出来るわけないだろ!
「でもやらないと大変なことになるの」
大変なことってもう十分大変だよ!これ以上俺にどうしろって言うんだ!
「お主が彼奴の口に突っ込んで吸い出せるような道具を用意したの」
道具って何だよ。道具があったって無理なもんは無理だよ。
「その道具は大きくしたり小さくしたりできるからそれで何とかするの!もう時間がないの!頑張るの!あとちょっとなの!」
おい!待てよ!聞きたいことが山ほどあるんだ!
「ちょっと!目を覚ましなさい!」
キャサリンの声がする。俺は目を開けた。
「お兄様!大丈夫?」
俺は闘技場に寝転んでいた。となりにキャサリンとリディアがいた。
「リ、リディア……。どうして……」
横を見るとペーシャが倒れている。
「ペーシャも……どうして……」
俺は立ち上がろうとした。
「いててて……」
全身がまだ痛い。しかし俺はなんとか生きているようだ。
「表彰式を見に来たのよ。そしたらお兄様が急に現れて、なんか巨大なモンスターも現れて。闘技場の方まで避難してきたら急にお兄様が空から降ってきたのよ」
リディアが説明してくれた。
「空から落ちてきてよく俺生きてたな。誰か治療してくれたのか?」
「ペーシャが治癒魔法かけてくれたのよ」
そうか。ペーシャが助けてくれたのか。
「あんた感謝しなさいよ。おかげでペーシャが死にそうなんだから」
キャサリンが言った。
「な、何でペーシャが死にそうになるんだよ」
「説明は後よ!さあ、行くわよ!」
キャサリンは俺の頭の上に乗っかってきた。
「え?どこに行くんだ?」
「決まってんじゃない。上!」
キャサリンは空を指差した。
俺が上空を見ると魔王が巨体に大きな翼を揺らめかせて飛んでいる。その周りを竜族たちが飛び交いながら攻撃している。竜族たちは火を噴き、剣を抜いて魔王を攻撃しているが、魔王にはほとんど効いていないようだ。
「加勢するわよ!」
「お、おう!」
「頑張って!お兄様!」
リディアが声を掛けてくれた。
「ありがとう。頑張るよ」
「みんな応援してるわ」
「みんな?みんなって誰だ?」
俺が周りを見回すと闘技場の奥の方で何人もの女の子が手を振っているのが見えた。
「あの子らのことか?」
「そうよ。お兄様、最後ラストスパートで凄いたくさんポイント稼いだんだってね!」
急に現れた応援団の登場で気分が良いけど、無双状態の魔王に対抗できるのだろうか。
「そういや、神様が何か言ってたな……」
なんか道具を用意するとか言ってたな。どこにあるんだろう。俺は自分の体を触ってみた。懐に何か棒状のものが入っている。俺は服の中に手を入れて探ってみた。
「ええっと、ん?んんん?な、なんだよこれ!!」
茶色のボディーにまるでスポーツブラとパンティを思わせる白い部分。吹き口から下までスラリと伸びた一直線。上部の白いところが少し膨らんでいて、ボトムがキュッと締まっている。そして唇を思わせる吹き口の丸みを帯びた形。胴体に無数に空けられた穴の存在!
「リコーダーじゃねえか!」




