第60話 脱出!
「いててっ!」
連れて行かれた先は地下の牢獄だった。ぐるぐる巻きにされたまま、床に放り投げられた。
「ちょっと!くっつかないでよ!気持ち悪い!」
キャサリンに文句を言われてもどうしようもできない。
「お前の歯で網を噛み切ったらどうだ?」
「さっきからやってるけど特殊な素材なのか噛み切れないわ」
キャサリンのことも考慮の上での作戦なのかもしれない。
「困ったな……」
どうにかして脱出したいけどぐるぐる巻きにされた上、牢獄に鍵をかけられて目の前には見張りがいる。かなり難易度が高い脱出作戦だ。
「ヘン、いい気味だぜ。俺たちに楯突いたことを後悔するんだな」
見張り役が嬉しそうに言った。
「フンっ!私たちの見張りぐらいしかできない奴に言われても悔しくないわ!」
キャサリンが憎まれ口を叩く。
「何とでも言え。どうせお前らは死ぬんだからな」
見張り役はせせら笑いながら言った。
「私たちが何したって言うのよ!何もしてないのに殺すとかおかしいでしょ!」
「うるせえ!そんなこと知るか!黙ってろ!」
見張り役はそう怒鳴ると椅子にどっかと腰掛けた。見張り役相手に喧嘩を売ってもしょうがないだろ。
「あんたら本当に野蛮ね!」
キャサリンが叫ぶ。しかし見張り役は目を閉じて反応しない。
「あんたらの何が気に食わないってその精神が腹立つわ!言われたことやってるだけ!そんなの動物でも仕込まれたらできるわ!いや、動物でも嫌なことは嫌って言うから動物以下ね!」
「もう勘弁ならねえ!」
見張り役は立ち上がってガチャリと鍵を開けて入ってきた。
「二度とその減らず口叩けないようにしてやるぜ!」
持っていた棒を振り上げた!
「ガハッ!」
棒に打たれて倒れたのは見張り役だった。
「ラピス!」
目の前にラピスが立っていた。
「バカ!声が大きいわ!」
キャサリンに窘められる。
「よく俺が待ち伏せしているのが分かったな」
「フン、匂いで分かるわよ」
「本当にリスにしておくのが勿体ない」
二人で謎の会話を始めた。
「どういうことだよ?」
網を解いてくれているラピスに聞いてみた。
「そちらの飼い主に聞いたらどうだ」
飼い主って俺のほうだろ!
「私があの見張り役を挑発してここの鍵を開けさせたってことよ」
それであんなに噛み付いてたのか。
網が解けた。
「さあ、行くぞ!」
ラピスは立ち上がった。
「どこに行くんだ?」
「決まってるじゃない!」
「決まっている!」
二人は同時に言った。
「え?家に帰るのか?」
「バカ!」
「馬鹿者!」
これも二人同時だ。
「だったらどこだよ!」
「王になるのよ!」
「貴様が王だ!」
二人同時にめちゃくちゃ言い始めた。やっぱり俺がおかしいのか?
「何で俺が王になれるんだよ!」
「話は後だ。脱出する!」
ラピスはそう言ってキャサリンを頭の上に乗せて扉に向かった。
「行くぞ!」
二人の声がハモっている。




