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第56話 レース終了!

「ちょっと!なんの騒ぎ?」


 俺たちの周りにトップ選手の取り巻きの女がやって来た。もうだいたいレースのほうにケリがついて退屈してきたんだろう。


「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい!」


 急にキャサリンが前に出てきた。


「な、なに!このリス喋ってんだけど!」


 喋るリスのインパクトはどこに行っても強烈なようだ。


「凄いよ凄いよ!なんとあなたを一秒で昇天させちゃうよ!誰がって?この冴えない男だよ!」


 キャサリンの魚屋のような呼び込みにどんどん観客が増えていく。


「本当に一秒でできるのかしら?」


 あちこちから疑いの声があがる。


「さあ、ほんとかウソかは試してみないと分からない!さあ、試してみたい人はこの男の手を握るんだよ!」


 キャサリンは大声で囃し立てる。


「私試してみようかな」


「ええ?なんか怪しいよ」


「でも……」


 あちこちでヒソヒソ話が始まった。


「残り五分!」


 係員が叫ぶ。


「さあ、早くしないと終わっちゃうよ!」


「私やってみる!」


 一人の女が手を差し出してきた。


 俺がその手を握る。


「キャー!」


 叫び声をあげて女はその場にしゃがみ込んだ。


「ほ、ほんとにしゅごい!」


「さあさあ!早く早く!」


 キャサリンは手を叩いてギャラリーを煽る。


「じゃあ私も!」


 本当に目の前でイッたところを見て次々と女たちの手が伸びてきた。


「キャー!」


「イヤん!」


「しゅ、しゅごい!」


 手を差し出してきた女たちを次々とイカしていく。そのうち行列が出来始めた。


「ちょっとあんた、私の方が先よ!」


「なによ!あんたの方が後じゃない!」


「早くしてよ!」


 だんだん行列の中で喧嘩が起こり始めた。


「残り三分!」


 係員が叫ぶ。


「もう時間がないわ!もう順番関係ないわ!こいつやりたい奴はとにかくこいつの体どこでもいいから触りなさい!」


「おい!お前何言ってんだ!う、うわー!」


 女たちが一斉に俺に飛びかかってきた。俺は女たちに押し倒される。あっちからこっちから色んなところから手が伸びてくる。


「さあ!早くやっちまいなさい!」


 キャサリンは人の間をすり抜けて俺の耳元で言った。


「ちょっ、こんな、状態で……」


 俺は自分の体に触っている手の感触を確認していた。そしてその手一つ一つに自分の精が行き渡るようイメージした。手の数は……百人分くらいありそうだ。


「残り一分!」


「早くしないと間に合わないわ!」


「分かってる!黙ってろ!」


 手の数が多すぎてイメージするのに時間がかかる。


「よし!いくぞ!」


 俺はこれまでの全ての力を込めて自分の精を発散させた!


 ズバアアアアン!


「ぎゃあああああ!!!」


 叫び声と湯気のような熱気が一気に放出された。女たちは一斉に力を失って折り重なるように倒れた。窒息しかけながら俺は女たちの折り重なる群れから這い出した。


「す、すげえな……」


 這い出して見てみると、百人くらいかと思っていたが、倒れている女の数はもっと多そうだ。


「もう最高!」


「もう食べられないわ……」


「死ぬかと思ったわ…」


 累々たる人の群れからそんな声が漏れ聞こえる。


「そこまでだ!」


 係員の声が聞こえた。


 レースが終わったみたいだ。


 ところでこの人数もカウントしてくれるんだよな。

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