第55話 巻き返す!
エミリーの突然の申し出に固まってしまった。
「何やってんのよ!早く手をつなぎなさいよ!」
キャサリンの声に俺は我に帰った。そうだ!こんなチャンス滅多にないぞ!俺は急いで耳に例のイヤリングをつけた。そしてエミリーの手を握る。握った瞬間、俺の身体の底から熱いものが湧き上がってきた。この一月ほどひとシコリもしていない。俺の精は溢れんばかりになっていた。
「行っけぇ!」
「キャー」
エミリーは前よりも派手に後ろにズッコケた。
「だ、大丈夫か?」
俺はズッコケたエミリーの手を取った。
「あ、あなた一体何者なのよ」
「何者ってどういうこと?」
「もう、ほんっとに凄いわ!」
エミリーはまるで溶ろけるような声で言った。
「そ、それって……ちゃんと精の受け渡しできてるってこと?」
俺は思わず聞いた。
「あったり前じゃない!ちょっと判定員!」
エミリーは判定員を呼んだ。
「どうした?棄権するならあっちだ」
判定員がやって来た。
「違うわよ!この人にポイントあげて!」
「な、なんだ、ポイントか。分かった」
判定員はメモし始めた。
「ねえ、エミリー何やってんの?どっかにいい男でもいたの?」
エミリーの友達が五人ほどやって来た。
「べ、別に何もないわ」
エミリーは平静を装っているが顔は上気している。
「ちょっと。あんただけいい思いしようってズルいわよ。どこにいるのよ、いい男!」
友達たちはワイワイ言っているが俺のことはアウトオブ眼中らしい。エミリーは黙って俺のほうを指差した。
「ええ?どこよ?」
それでも分からないらしい。俺はよほど重症のようだ。
「ここよ!ここ!あんたら見えてるでしょ!」
キャサリンが俺の頭の上から顔を出して言った。
「キャー!リスが喋ってる!」
女どもは尻もちをついた。
「あんたも何黙ってんのよ!さっき練習したでしょ!さっさとアピールしなさいよ!時間ないわよ!」
時計は残り10分になっていた。
「さあ、早く!」
俺は彼女たちの前に手を出した。
「ええ……」
女どもの反応が頗る鈍い。
「な、なんでだよ……」
「あんたバカなの!そんな口説き方で引っかかる女がいるわけないじゃない!さっきの練習なんだと思ってるの!」
漫才してモテるという歪んだ発想もどうかと思う。
「ねえ、エミリー。本当にこいつなの?」
友達の問いかけにエミリーは黙って俯いた。
「じゃあ私相手してあげるわ」
一人の女が俺に手を差し出した。
俺はその手を握った。
「じゃあ、空いてるベッドあるかしら……ギャー」
俺が手から精を送り込むとこの女もエミリーと同じようにぶっ倒れた。全身からホカホカした湯気が立っている。
「ちょっ、ちょっと!どうしたのよ!」
他の女が駆け寄ってくる。
「す、す、すごいいいいい」
この女もエミリーと同じような反応だ。
「え?まだ手握られただけじゃない!そんな早くってあるの?」
「ちょっと、私にもしてよ」
他の女が手を差し伸べてきた。俺はその手を握る。
「えい!」
「キャー!」
女は絶叫して倒れた。
「私にもしてよ!」
「私の方が先よ!」
女同士で先を争い始めた。
「分かった、分かったよ。もうみんないっぺんにしてやるよ!」
俺は両手でそれぞれ女の手を握った。
「あんたそんなことできるの?」
キャサリンが疑いの目を向ける。
「できると思うんだけどな」
俺は両手に力を込めた。
「ギャー!」
「イヤアアア!」
二人ともバタンキューしてしまった。




