第46話 ガールズトーク2
「ダヴィド様にお仕えしたのは三年前、私がこちらにお世話になってからずっとです。
私の前の方は一月で辞めて、その前も三ヶ月で辞められたと聞いてましたから、ずいぶん入れ替わりの激しいとこだなって思ってました。きっとお仕えするのは大変なんだろうなと。でもそんなところでしか私の働き口がなかったのです。
私は両親を亡くして親戚の家に預けられていましたから何とかして早く家を出ないといけなかったんです。
お仕えしてみてやっぱり色々大変でした。まず食事はほとんど食べられませんし、私に乱暴されますし、そのくせ私のパンツを集めておられました。パンツなど集めてどうされるのかよく分かりませんでしたけど」
「白いお皿でももらえると思ったんじゃない?」
「白いお皿ですか……」
「ごめんなさい、続けて」
「すみません。ダヴィド様の評判は出入りの業者さんや軍の関係の方からもとても悪いと聞いています。
でも私はダヴィド様のことを嫌だとは思ってません。確かに色々と悪い評判は聞きますがダヴィド様は何かとても大きなことを考えておられたんじゃないかと思ってます」
「お兄様が大きなこと考えてたってどんなこと?」
「ダヴィド様は街や村の中のことを調べるのがお好きでした。
今水道は森の奥から水路を使って引いていますが、その水路の中を探索して今補修が必要なのはどの部分か、どの村が一番農作物の収穫が多いのか、またどの品目が多いのか、道路はどこに通じているのか、どの道で工事が必要なのか、橋はどの川にどれくらい架かっているのか、事細かに調べておいででした。
何故そんなことを調べておられるのかは分かりません。ダヴィド様は学校にも少し行かれてすぐ辞められたと聞いていますし、軍や宮殿に勤めに出られることもなく、家にずっとおられたみたいです。だからそのような調査をして発表する場もないと思うのですが。
でもきっとダヴィド様は何かお考えがあってのことだと思います。きっと世の中のためになることだと思って調べておられたと思ってます。
だからこの前私が水は森から水路を引いていると言うと、ダヴィド様はへえー、そうなのって知らない風だったので驚いたんです。誰よりも水路のこと知っておられるはずの人が何も知らないなんて。
それ以外でも何だか知っておられるはずのことを知らなかったりして。記憶が戻ってないと言うよりそもそも知らないって感じのおっしゃり方なので気になったんです。でも今の話を聞いてちょっと本当にそうかもしれないって思っちゃいました」
「リディアはさっきのペーシャの話どう思う?」
「私もペーシャと全く同感よ。お兄様は本当はとっても頭の回転が早くてお話ししてても楽しいの。レオンやメルフとは大違いだわ」
「ねえ、ところで、なんでさ、ダヴィドだけお兄様って呼んでるの?」
俺はそっと扉を離れた。まだまだガールズトークは続きそうだ。しかし俺は明日に備えて寝ないといけない。このまま聞いていたいがキリがないな。
「さて、部屋に戻るか」




