第45話 ガールズトーク!
俺はベッドを抜け出して一階に降りた。なかなか寝付けないから水でも飲もうと台所に行った。
「あれ?なんだ?」
台所の奥の床の取っ手が引き出せるようになっているのを見つけた。
「こんなところに床下のスペースがあったのか……」
俺は取っ手を引き出して床下を覗いてみた。
床下のスペースはかなり広くなっていて奥に続いていた。ずっと奥のほうがなんだか光っている。
「誰かいるのか?」
俺は床下に降りて光のさす方へ進んで行った。
床下は倉庫になっていた。クモの巣を払いながら奥に進む。
ずっと奥の方に行くと人の話し声が聞こえた。
「この扉か……」
扉から光が漏れている。俺は扉に耳を当ててなかの様子を伺った。
「リディア様、申し訳ございません」
ペーシャの声だ!なぜペーシャがこんなところにいるんだ?
「いいのよ、気にしないで食べて。それにあなたがここにいるのを教えてくれたのはキャサリンだから。しかしキャサリンはペーシャがここにいるってよく分かったわね」
「ペーシャの匂いがまだ家の中でしたのよ」
リディアとキャサリンもいるのか?
「リスの鼻ってすごいのよ」
キャサリンが胸を張って言ってる姿が目に浮かぶ。
「いよいよ明日ね」
リディアの声だ。
「ええ。そうね」
キャサリンの声だ。
「本当にダヴィド様はレースに出られるのでしょうか」
ペーシャが聞いた。
「そりゃ出るわよ。そのために色々やって来たんだから」
キャサリンが言った。
「しかしまだ信じられない気持ちがあります。あんなにレースなんか出たくないって言ってたのに。まるで別人のように……」
ペーシャの声はか細い。というかペーシャまで俺のこと疑っているのかよ。
「本当に別人かもしれないわよ」
リディアが言った。
「え?どういうことですか?」
「ねえ、キャサリン。あなた別の世界から来たんでしょ」
「そうよ。ダヴィドも私も元々は別世界から来たのよ」
おい!キャサリン!何言ってんだ!
「え?そ、そ、そうなんですか?」
「ええ。ダヴィドはいつか分からないけど、私はあのグランドオークが攻めてきた日にこの世界に来たの。ダヴィドはいつ来たのか知らないけど、きっと病気になってた時に来たんじゃない?」
「そ、それじゃあ、今までのダヴィド様はどこへ?」
「それは分からないわ。でも元のダヴィドとは別の人格が今ダヴィドの中にいるわ」
あいつ何ペラペラ喋ってやがるんだ。俺はキャサリンを止めようと思って扉のノブに手を掛けた。
「ねえ、本当に面白いでしょ。キャサリンの話は面白いのよ」
リディアは笑いながら言った。俺は扉のノブにかけた手を止めた。もしかしたらリディアはキャサリンの話を真面目に受け取っていないかもしれない。とりあえずこの話の成り行きを見守ることにしよう。
「そ、そうですね……」
ペーシャは戸惑い気味に言った。キャサリンの話が本当かどうか測りかねているようだ。
「でも、私、最近、キャサリンの話は本当なんじゃないかって思ってるの」
リディアは言った。
「リディア様がそのことを聞かれたのはいつなんですか?」
「キャサリンと出会って一番最初に聞いたわ。まあ、その時は面白いリスがいるなと思って聞いてたけど。でも最近のお兄様ちょっと変でしょ」
「はい、確かに、それは……」
ペーシャが遠慮気味に言った。
「どんなところが変なの?詳しく聞きたいわ」
そしてペーシャの長い話が始まった。




