第44話 レース前夜!
それから俺とキャサリンとリムドは一緒の部屋で生活することになった。
リムドは一応こちらの生活に適応しているようだ。日中はキャサリンが付きっ切りで勉強を教えている。キャサリンは教えるのが上手いらしく、リムドは学校の先生よりキャサリンに教わった方がいいとしきりに言っていた。
俺は相変わらず庭で魔法の練習だ。竜族との戦いの中で実戦で使えることは分かったが、課題も見つかった。課題の一つは攻撃のバリエーションが少ないことだ。
今のところ小竜巻くらいしか攻撃用の魔法がない。初めての相手ならそれでいいかもしれないが、見切られてしまうと他に攻撃用の魔法が必要になる。他にも色々あるがレースまで時間がない。出来ることを最大限やって行くしかないだろう。
しかし最大の問題は別のところにあった。
「なあ、ペーシャを連れ戻すことはできないのか」
俺は今日も爺に聞いていた。
「私にも居場所が分からないのです」
爺は困った顔で言った。
ペーシャは両親を亡くしており、親戚の家に預けられていたところ、うちのメイドに申し込んできたとのことだ。
きっとその親戚の家に戻るだろうと予想されるが、親戚の家との関係が悪ければどこに行くか分からない。これまで貯めたお金がどのくらいあるのか分からないが、僅かなお金が尽きてしまえば、路頭に迷うことになる。
「ペーシャの居場所も探さないとな」
とにかくペーシャを探し出して連れ戻そう。
「あのさ、本当にペーシャは屋敷を出たのかしら」
俺の報告にキャサリンは妙なことを言った。
「え?どういうことだよ。爺がもうこの家からは追い出したって言ってたぞ」
「ふーん、ならいいけど」
キャサリンはそれだけ言ってまたどこかへ去って行った。
それにしてもキャサリンの居場所を探すのは難しい。いつもどこに隠れているのかよく分からない。変なところから急に出てきたり、いつの間にかいなくなってたりする。
この前も俺が休憩してる時に急に現れて練習の成果を見せろと言って、見たらすぐにどこかへいなくなっていた。まるで忍者だ。
ただ、キャサリンに言わせるとリスの体で動くのは不便なことの方が多いと言う。あんたら人間様には分からないわ、とも言っていた。
もしかしたらペーシャの居場所もキャサリンが探し出してくれるかもしれない。
さて、そんなこんなで魔王指名レースの前日になった。
俺は魔法の練習を適当に終えて明日に備えて早めに寝ることにした。とにかく生きて帰って来れたらいいんなら大丈夫だと思うんだけどな……。甘いんだろうか。




