第43話 キャサリンの説教!
「私が全て悪いとはどういうことじゃ!この畜生が!」
珍しく爺が感情的に怒っている。
「じゃあ、説明してあげるわ。ダヴィドの暗殺しようとしてた奴見つかったの?」
キャサリンは爺から降りて爺の前に仁王立ちして言った。
「な、なんじゃと」
「どうなのよ」
「あ、あれはペーシャが起こしたことで……」
「あんた本気でペーシャがそんなことできると思ってるの!」
キャサリンが大きな声を出した。
「あんたが本気でそう思ってるならあんたは本気で耄碌してるわね。この家を出て行った方がいいのはペーシャじゃなくてあんたよ」
「では誰だと言うんじゃ!」
「それを本気で探してたのよ、私たちは。あんたがペーシャのせいにして幕引きしたって根本的に解決しないとダヴィドはまた襲われることになるわ」
「し、しかしペーシャが何者かの手引きをしたのは確かじゃ」
「それは単に利用されただけでしょ。暗殺依頼するのにいくらかかると思ってんのよ。一介のメイドができることじゃないわ。それくらい分かってるでしょ」
爺は顔を真っ赤にしている。
「そ、それで誰だと言うんじゃ」
「その前に認めなさいよ」
「何をじゃ」
「自分がやるべきことを放棄してメイドにおっかぶせて体良く自分の責任を逃れようとしていること」
「何を言う!ワシがやるべきこととは何のことじゃ!貴様に何が分かるというのじゃ!」
爺は立ち上がって言った。その爺に向かって腰に手を当てるいつものポーズに人差し指を突き立ててキャサリンは言った。
「あんたがやるべきことはただ一つ。ダヴィドを襲った奴を突き止めてそいつらの手からダヴィドを守ることよ!それ以外にないじゃない!あんたにそれができたの?」
「ぐぬぬ……」
爺はキャサリンを睨みつけながら座った。
「まあ、いいわ。認められないなら。で、私たちは仕方なく自分たちで犯人を見つけることにしたのよ。それでその犯人ってのが竜族の皆さんだったのよ」
「な、なんじゃと……。なぜ竜族がダヴィド様の命を狙うのだ?」
キャサリンは首を振った。
「知らないわよ。でもあんた竜族が犯人かもしれないって思わなかったの?この二階の部屋にグランドオークみたいな大きなモンスターどうやって運ぶのよ。空飛べる奴しかできないでしょ、そんなこと。限られてくるじゃない」
「 そ、それは……」
爺は口ごもった。確かに言われてみればその通りだ。
「街に行って竜族のこと聞いて確信したわ。きっと竜族が犯人だろうってね。でもこちらはA級モンスターまで撃退したから簡単にはリベンジに来ないかもしれない。それこそリベンジに来るときは相当な準備をしてダヴィド以外に犠牲者が出るようなことになるかもしれない。だから敢えてこちらから奴らのテリトリーに乗り込んだのよ。そしたら森に入るとすぐに監視役の竜族が襲って来たわ」
「しかしどうやってその竜族の攻撃を撃退したのだ?」
「ずっと魔法の訓練してたからね。簡単にはやられないわよ。それとそこにいるリムドと父親のラピスに助けられたの。彼らが居なかったらまだ森から抜けられなかったかもしれない。でも私たちを助けたおかげでリムドは他の竜族に追われて行き場がなくなったの。だから連れて来たのよ」
「そ、そうでしたか……」
爺はリムドの方へ向き直って丁寧にお辞儀をした。
「これは知らなかったこととは言え、大変失礼を致しました」
「いや、助けられたのは僕の方だから」
リムドは手を振りながら言った。
「でもあんたがいなかったら私たちは助からなかったわ。だからここにいることに気兼ねする必要なんてないのよ」
「ではリムド殿のお部屋を用意しましょう」
爺が立ち上がってメイドを呼ぼうとした。
「いや、この部屋で一緒にいるよ。それでもいいだろ、リムド」
「うん、僕は何でもいいよ」
「いや、そういうわけには行きますまい」
「だってリムドだって初めてこの家に来たんだし、竜族がまた襲ってくるかもしれないしな」
「さようですか。それではベッドが要りますな。おい、誰か!」
爺ははりきってメイドを呼んだ。




