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第42話 爺の説教!

 俺がそっと玄関の扉を開けて中に入ると、目の前に仁王立ちした爺がいた。キャサリンは爺の横を抜けてズンズン部屋に向かっていく。


「おはようございます」


「ああ、おはよう……」


 もうめっちゃ怒ってるじゃん……。


「ちょっとよろしいですかな」


 よろしくないと言ったらなんて言うんだろう。


「あ、あのさ、ペーシャいる?ちょっと腹減っちゃってさ、飯食ってからでいい?」


「ペーシャはもうおりません」


 え?


 キャサリンもピタリと足を止めた。


「どういうことだよ」


「今後ペーシャがダヴィド様の前に姿を現わすことはありません。朝食でしたら他のメイドにお申し付けください」


「な、なんで勝手にそんなこと!」


「勝手なのはダヴィド様の方ではございませぬか!」


 爺の怒鳴り声が屋敷に響く。朝っぱらから元気がいいね。


「食事は部屋に届けさせます。その後でお話しをお聞きしましょう」


 爺はいつになく肩をいからせて去って行った。


「ねえ、僕やっぱり帰るよ」


 俺の後ろでリムドが震えている。


「帰る必要はないわ」


 キャサリンが言った。


「お腹空いたでしょ。早くこっちおいで」


 いつになく優しい声でキャサリンは言った。




「どう説明したらいいんだろうな」


 他のメイドが持って来てくれた朝食を食べながらキャサリンに聞いた。ちなみにメイドは飯を置くとさっさと部屋を出て行った。リムドの分も用意してくれた。一方、キャサリンは俺の枕の上で寝転がっている。


「うるさいわね。人が寝ようとしてるのに」


「それ俺の枕なんですけど」


「いいじゃない。今日くらいはフカフカの布団で寝たいのよ」


「じゃあ、その枕貸してやるからどうやって話したらいいか教えてくれよ」


「うるさいわね。あったことそのまんま喋ったらいいじゃない」


 軽く言ってくれるよね。


「だからその言い方をだな……」


「もうよろしいですかな」


 扉の向こうから爺の声がする。


「わ、分かったよ。ちょっと待って」


 俺は残りのパンを口に突っ込んで言った。いつものパンより固くてモサモサするな。




「さあ、話してもらいましょうか」


 爺はその辺りにあった椅子を引っ張ってきてどっかと座った。


「何をだよ」


「昨日はどこにおられたのですか」


「森だよ。妖幻の森」


「何をしに行かれたのですか」


「えーっと、トレーニングだよ」


「何のためのトレーニングですか?」


「レースに出るだろ。あれのための」


「どんなトレーニングをされたのですか?」


「魔法使ってモンスターを倒す練習だよ」


「妖幻の森はどんなところか知っておいでですか」


「モンスターとかいるところだろ」


「何も分かっておられませんな!」


 爺は立ち上がった。


「あの森がいかに危険か!入った者はたいてい死体も残らないと言われるほどですぞ!何の用意もなくそのような森に入って何かあったらどうされるのですか!」


「まあ、まあ、悪かったと思ってるよ。何も言わずに行ったのは」


「あの森には竜族の村まであるのですぞ!」


「いや、まあ、その、竜族の中にも色々いるからさ、一概にはそう言えないんじゃないか」


 俺はリムドの方を見た。リムドはソファに座って所在なさげにしている。何だかここに連れて来たことが悪かったように思えてくる。


「それに何ですか!竜族の子供まで連れてきて!犬でも拾ってきたみたいに!」


「いや、これには色々訳があって……」


 スックとリムドが立ち上がった。


「お兄ちゃん、やっぱり僕帰るよ……。ごめんね」


「その必要はないわ」


 急にキャサリンが起きた。


「うるさいから眠れないじゃない」


「部外者は黙っておれ!」


 キャサリンはベッドを降りて爺の体にスルスル登って耳の前で言った。


「何言ってんのよ!こうなったのは全部あんたのせいなんだからね!」


 部屋中に響き渡る声で言った。


 キャサリンはついに全てを爺のせいにし始めたようだ。

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