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第4話 ファーストキスは濃厚に!

 俺が目を覚ますとベッドに横たわっていた。


「ここどこだ」


 と言おうとした。


 しかし言葉が出てこない。

 急に俺の頭の中がグワングワンしてきた。


「うぐぐぐ」


 コメカミのあたりが痛い。


 そしてピタリと痛みが治まった。


「お兄様!大丈夫?」


 誰かに話しかけられる。この声は……ああ、妹のリディア。確か今年10歳になる。


「ああ、大丈夫だ」


 返事も出来た。こちらの言葉もちゃんと喋られるようだ。


「爺に言ってくるね」


 リディアは部屋を出て行った。


「俺は誰なんだろう」


 俺はベッドから降りて部屋を見回した。


 小洒落た洋風の部屋だ。ベッドはかなり大きいし、机やタンスなどそれ以外の家具も作りがしっかりしている。きっとそこそこお金持ちの家なんだろう。


 自分の姿を見てみたい。鏡とかないのかな。

 俺は窓ガラスに映る自分の姿を見た。


「ええっ!」


 体が真っ黒!黒人とかそんなレベルではない。それに痩せていて背が低い。これで尻尾が生えててでっかいフォーク持ってたら完全に悪魔かなんかだ。


 あと自分の名前とかここがどこなのかとか色々知りたいな。


「なんとか思い出せないかな……」


 俺はこれまでの記憶を思い出そうとしたが、この世界のことがなかなか思い出せない。俺は諦めてベッドに腰掛けた。


 ふと見ると本棚に色々な本が並べてある。一冊手に取って見てみると文字が読めた。とりあえずここにある本を片っ端から読んで知識を増やさないといけないな。


 窓の外を見た。ここは農村なのだろうか、田園風景が広がっている。今日はよく晴れていて、気温も暖かい。春か秋なのかな。というか四季があるのだろうか。分からないことだらけだ。


「ダヴィド様!よくぞご無事で!」


 ダヴィド?俺の名前か。バターンと勢いよく扉の開く音がしてタキシードを着た爺さんが入ってきた。ええっとこの人は……。


「爺!」


 そう、うちの執事のセドイフだ。爺、爺と呼んでるから名前がパッと出てこない。


「ダヴィド様!心配したのですぞ!急に発熱して三日間寝込まれて、爺はもう生きた心地がしませんでした」


 死にかけてたってことね。ていうか一回死んだのかもしれないけど。


「ああ、もう大丈夫だよ。ただ、なんか色んなことが思い出せないんだ。本当に当たり前のことが」


「ああ、そうでしょうそうでしょう。熱で頭までやられてしまったのかもしれません。しかし大丈夫です。すぐに戻りますよ。それよりお腹が空いたのではありませんか。食事を用意させます」


「ああ、頼む」


 爺はまた慌ただしく部屋を出て行った。


 爺と入れ替わってリディアが入ってきた。


「お兄様!」


「ん?どうした?」


 リディアはニコニコしながら近寄ってきた。彼女も俺と同じように体が真っ黒ではあるが顔立ちが整っていてとても可愛らしい。


「今からお兄様の検査をします!」


 検査?なんのだ?


 そしてリディアは俺をベッドに押し倒した。


「えっ?」


 リディアは俺に顔を近づける。そしてそのまま俺の唇に自分の唇を押し付けた。


「!!!」


 リディアはさらに自分の舌を俺の口の中に差し込んでくる。彼女の舌がまるで生き物のようにヌルヌルと動く。彼女は俺の口の中を自分の舌で弄り始めた。だんだんと力が入らなくなってきた。

 次の瞬間、リディアは俺の舌を噛んで引っ張った!

 痛え!


「何すんだ!」


 俺がそう言う前に、リディアは俺の口から白い石のようなものを引っ張り出した。


「やっぱりね。お兄様、原因はこれよ」


「ん?なんだこれ?」


「え?お兄様、これ分からないの」


 リディアは笑いながら唾液でヌルヌルになった白い石のようなものをハンカチで拭きながら言った。


「これクリスタルじゃない」


「クリスタル?」


「お兄様からこんな大きなクリスタルが出てきたっていうことは」


 リディアがまた俺に顔を近づける。またキスされるのか。別にいいけど。


「お兄様は殺されかけたってこと」


「えっ」


「お兄様はやっぱり狙われてるのよ」


 衝撃的な一言に俺は声が出ない。転生して早々俺は誰かに命を狙われてるらしい。

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