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第38話 森を抜けた!

 それにしてもここのゾーンはモンスターが多い。ちょっと歩いて、立ち止まってモンスターやっつけて、また歩くとすぐに立ち止まる。昔のゲームみたいなエンカウント率だ。


「それにしても多いよな、モンスター」


「あんたは呑気ね」


「何がだよ」


「黙って歩いてなさいよ」


 さっきからモンスターが出てくる度にラピスとキャサリンの二人で話し合って倒し方を決めている。


「止まれ」


 またラピスが俺たちを制止する。


「またマッドトレントね。あとアサルトウルフが……三匹かしら」


「そうだ。後ろからついてきてるな。お前たちはマッドトレントをやれ。俺はアサルトウルフをやる」


「じゃあ、私が前に行くわ」


「うむ」


「ずっと上の方ででブラックバットの声も聞こえるわ。静かにやった方がいいわね」


 ブラックバットってのは体長一メートルくらいある大きなコウモリだ。捕まったら最後死ぬまで血を吸い取られるらしい。


「そうか、分かった」


 ラピスもだんだんとキャサリンの指摘に耳を貸すようになってきた。


「さあ、ちゃっちゃとやるわよ」


 相変わらず威勢がいいね。




 こんな感じでどんどん進んで行く。


「どのくらい経ったんだろう」


 あと一時間くらいって言ってたけど、もう二時間は歩いてるような気がする。


「あんたは黙ってなさいよ」


 キャサリンは相変わらず厳しいことを言う。


 そのうちだんだんとモンスターの出現も減ってきた。


「そろそろ森を抜けそうだ」


 ラピスが言った。


 ありがたい。だいぶ歩いてもうクタクタだ。


 そして俺たちは森を抜けた。


「やった!出られたぞ!」


 久しぶりの外の空気に触れて何とも言えない開放感だ。


「ありがとうラピス!助かったよ!」


「いやこちらこそ中々楽しかったぞ」


 そう言って彼は俺の前に手を差し伸べようとした。握手だと思って俺も手を差し伸べるとラピスの手は俺の頭の上に伸びた。


「ありがと。楽しかったわ」


 ラピスは俺ではなく俺の頭の上にいるリスと握手をした。


「な、なんで俺と握手しないでこいつとするんだよ!」


「当たり前じゃない」


「当然の結果だ」


 二人同時に同じようなことを言った。


「あんたは謝ってなさいよ」


「何に謝るんだ?」


「ラピスがモンスターを避けて遠回りしてくれてるのに、モンスターが多いとかまだつかないのかとか言ってごめんなさいって」


 え?そんなことしてたの?


「フッ、気付いていたか」


「当たり前よ」


 キャサリンは腰に手を当てたいつものポーズで言った。


「二人は入れ替わったほうが良さそうだな。いい戦士になれるぞ」


「戦士なんかイヤよ。私は……」


 急にキャサリンが黙った。そしてあたりを見回し始めた。


「おい、どうしたんだよ」


「黙って!竜族の笛の音が聞こえた!」


「な、何だって!」


「あそこだ!」


 ラピスが指差した暗い空には何人もの剣を携えた竜族の影がこちらに向かっていた。

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