第21話 あなたは誰?
「あんたさ、ほんとに一日で20人とできるわけ?」
リディアが出て行った部屋でキャサリンと二人きりになった。
「ああ、できると思うけどな……」
俺はこの世界でも引きこもっているが毎日20回はシコっている。
「あんた、あのイヤリング付けて、その、なんだっけ、精の受け渡し?したことあんの?」
「ああ、それはしたことないな……」
自分でするのと相手がいるのとでそんなに違いがあるのだろうか。まあ、全く違う世界だし一応確認しといた方が良さそうだ。爺に言って一回試しに誰かとやってみよう。
「あとさ、リディアどうすんの?」
「どうするって?」
「このままでいいの?」
このままでは良くない。しかしどうしたらいいんだろう。リディアはもう俺がダヴィドではないことに気がついている。しかし何をどう伝えたらいいんだろう。
「ありのまま伝えても信じてもらえないだろうな」
「まあ、好きにしなさいよ」
「なんだよ、冷てえな」
「なんで私がリディアにどう話すかまで考えてあげないといけないの?あんたは私の奴隷であってそれ以上でも以下でもないわ」
もう冷たいとかそれ以前の人権問題のようです。
「あとさ、レースはそのまぐわいだけじゃなくて、最後に上位に残った人でバトルロワイヤルやるらしいから。魔法や剣術も練習しといた方がいいわよ」
「え、そんなのあるのかよ!それ先言えよ!」
「さあ、のんびりしてられないわ。忙しくなるわよ」
張り切ってんのキャサリンだけじゃねえか。
俺は庭に出た。
リディアは庭の花壇の近くで座っている。
「リディア!」
俺はリディアに声をかけた。
リディアは俺の声に振り向いたが、すぐにまた花壇の方に目を向けた。
「綺麗な花だな」
「何の用なの」
リディアの声が固い。
「なあ、リディア、そんなに俺のこと変だと思ってるのか?」
リディアは黙って花壇を見つめている。
「ねえ、お兄様」
「ん?なんだ?」
「お兄様は誰なの?」
リディアはこちらを向いた。まつ毛が涙で濡れている。
「俺は俺だ」
「お兄様このままだと本当に死んじゃうよ。家族みんなお兄様を厄介払いしたくて仕方ないのよ。キャサリンが魔王指名レースに出るって言い出したけど、あれキャサリンが言わなきゃお父様かレオンかが言ってたよ。何度も言われてたじゃない。家にいて何の役にも立たないならレースに出ろって。何でそんなに呑気にレースに出るつもりなの?」
「俺はきっと生きて戻ってくるよ」
「無理だよ。やっぱり止めようよ」
リディアにここまで言われると流石に無理に出なくてもいいような気がしてきた。
「ちょっと考えるわ」
「お兄様!」
「ん?」
「ほんとにお兄様はお兄様だよね。信じていいんだよね」
「あ、ああ」
俺はそう言ってその場を去った。




