第2話 悪いのはリコーダー!
「さてと……」
俺はリコーダーを部屋の真ん中に立てた。
こうしてしげしげとリコーダーを眺めてみるとなんとも卑猥なフォルムをしている。
茶色のボディーにまるでスポーツブラとパンティを思わせる白い部分。吹き口から下までスラリと伸びた一直線。上部の白いところが少し膨らんでいて、ボトムがキュッと締まっている。そして唇を思わせる吹き口の丸みを帯びた形。胴体に無数に空けられた穴の存在も見逃せない。
「うーむ、見れば見る程エロい」
いつの間にか俺の下半身は硬化し始めていた。
「……一発抜いとくか」
いや、これはシコリストとしてちょっと上級者過ぎはしないか。
よく好きな子のリコーダー舐めたとか聞くけど俺は舐めるどころか触れてすらいない。
見てるだけだ。
これでイッたらさすがに変態すぎる。
いや、待てよ。これが本当の紳士なのではないか。誰も傷つけず何も失っていない。これこそ変態という名の紳士だ。もし失われたとすれば俺自身の人間としての尊厳だけだ。
俺はティッシュの箱を用意した。
五分後。
「まさか二発も抜けるとはな……」
自分自身のキモさに引いている。さすがに好きな子のリコーダー見てるだけでオカズになる奴はいないだろう。
「もう普通の男の子としてやりたいことやるべきなんじゃないか……」
そう、咥えてしまうのだ。
しかし良心の呵責を感じる。
あいつには偉そうに俺は悪くないと言い切ったが、リコーダーを咥えた時点で犯罪者である。
「ただなあ……」
俺が咥えてるとこ見られるわけじゃないしな。分かんないなら別にいいじゃないか。悪魔が囁く。
いや、紳士なら潔く返してあげたほうがいいんじゃないか。もう二発抜いたじゃないか。もう満足しただろ。天使が反論する。
そして俺の中の悪魔と天使が戦う!それではガンダムファイト!レディー、ゴー!
「よし!咥えよう!」
あっさりと悪魔の勝利が決まる。今日のオカズはご馳走だぞ。俺の息子は大喜びだ。パパ!すごいね!今日はパーティーだね!
俺はリコーダーとティッシュの箱を持って布団の中に潜り込んだ。そして左手にリコーダーを持ってスタンバイ。
「さて、それでは……」
なんだかすごくドキドキする。一体どうなってしまうのか。
俺はそっとリコーダーを自分の唇に近づける。
そして。
「!!!」
触れた!
なんか知らんが甘い!
ような気がする。
多分気のせいだろう。
しかし俺にとってはその気のせいだけで充分だ。
すでに息子さんから凍てつく波動がほとばしっていた。
すごい。
いや、すご過ぎる。
これはシコリスト史上最高のオカズだ。
みこすり半とか言うレベルじゃない。
まさかのノータッチ!
そうノータッチ発射!
この機を逃してはいけない。
俺はリコーダーを咥えたまま右手で息子さんの可愛がりを始めた。
どのくらい時間が経ったのだろう。
もう何発イッたのかよく分からない。
俺の周りはティッシュのゴミだらけになっている。
というか俺の顔はティッシュのゴミで覆い隠されている。
なんだか息苦しさを感じる。
このままティッシュの山の中で窒息してしまうかもしれない。
だがそれでもいいだろう。
なんの取り柄もない俺にとって、性欲の強さだけが唯一、人より優れた部分だ。まあ、誰にも誇れないけどな。
だんだん意識が遠のく。
そして俺はリコーダーを咥えたまま意識を失った。