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第17話 爺の推理!

 爺の金田一少年のような発言に部屋の空気が凍りついた。


「それは本当なのか?」


 グレゴリーが聞いた。


「はい、正確に申し上げればその犯人の手引きをしたものがおります」


 皆それぞれに顔を見合わせた。そして皆それぞれ首を振ったり俯いたりして俺じゃねえよ感を出している。


「それ、誰なんだよ」


 俺が聞いた。この中で犯人の疑いがないのは俺だけだ。


「それは……」


 爺はそう言って部屋の後ろの方を見た。部屋の後ろってメイドしかいないけど……。


「ペーシャでございます」


 えっ!


 ペーシャ?


 なんで?


「え、え、わ、わ、私ではありません。な、な、何かの間違いではないですか!」


 ペーシャは慌てて手を振りながら言った。


「そうですか。ではいくつか質問をします。よろしいかな」


 爺は立ち上がってペーシャの方を向いた。


「は、はい……」


 ペーシャは小さく頷いた。


「あなたにはダヴィド様の食事の提供を担当してもらっていますが、先月、パンの業者を変えましたね。何故ですか?」


「はい、ダヴィド様は食が細くていらっしゃいます。それで、皆さまが召し上がっておられるパンより柔らかくて甘いものならたくさん召し上がっていただけると思い、そういうパン屋さんを探したんです」


「それでダヴィド様だけ別のパン屋から特注で用意するようになったと」


「は、はい」


「では、次の質問です。あなたはそのパン屋に毎日ダヴィド様がいつ家にいるのか聞かれていましたね」


「はい、でもそれはダヴィド様のパンが特注なのでダヴィド様が家にいない日は教えて欲しいと言われたので……」


「あなたは聞かれたことだけ答えてください」


「はい……」


「次の質問です。あなたはそのパン屋にダヴィド様の部屋の場所を教えましたね。何故そのようなことをしたのですか」


「そ、それは……」


 ペーシャが口ごもった。


「どうしました?答えられないのですか?」


 爺がペーシャに近づく。


「それは……教えて欲しいと頼まれたからです……」


 ペーシャは俯いて答えた。


「おい、爺。なんか話が見えないんだけど。本当にペーシャが犯人なのか?」


 俺が聞くと爺はこちらを向いた。


「ペーシャがダヴィド様に特注で用意していたパンの中からクリスタルのカケラが見つかりました」


「わ、私は知らないです!な、なんでそんなことが!」


 ペーシャは大声で言った。目から涙が溢れている。


「ダヴィド様の体からあれほど大きなクリスタルが出てきたのは、毎日少しずつ摂取されたとしか考えられない。これはさきほど申し上げたとおりです。それでこの一ヶ月でダヴィド様が召し上がったものをつぶさに調べましたところ、ダヴィド様だけが朝食用のパンを皆と違うものを召し上がっておいででした」


「それで俺の食ってるパンを調べてみるとクリスタルが出てきたってことか。それはでもそのパン屋が悪いんじゃないのか?」


 爺がペーシャの前に立った。


「本当のことを言いなさい、ペーシャ。お前はいつもダヴィド様に虐げられてダヴィド様を恨んでいた。

 それでパン屋に頼んでクリスタル入りのパンを特注で作ってもらった。誰にも気付かれずにダヴィド様を殺すために。

 あのパン屋は経営が上手く行ってなかったので、見返りにこの家のパンの調達と引き換えにお前の案に乗った。

 それが上手く行かなかったので、今度はダヴィド様の部屋の場所をパン屋に教えて、パン屋が雇った暗殺者を皆が家を空けた時にダヴィド様に差し向けた。

 違いますか」


「ち、違います!私はそんなことしません!ダヴィド様は厳しい時もありますが、本当はお優しい方で私は……」


 涙でペーシャの言葉は途切れてしまった。


「爺!ペーシャがやったっていう証拠はあるのかよ!」


 俺は聞いた。


「……ありません。そのパン屋にクリスタルやグランドオークのことを聞いても知らないと言われました。もっともそのパン屋の方から白状することはないでしょう。しかし状況的にはそう考えるより他ないと思うのです」


 爺はグレゴリーの隣に移動した。


「このような状態になり誠に申し訳ございませんでした。この事態の責任は私にございます。存分に処分くださいませ」


「いや、爺はこれまで当家に長年使えてくれた。今回の件は確かにダヴィドの命に関わることではあったが爺だけの責任にするつもりはない」


 グレゴリーは腕組みして言った。


「いや、それでは示しがつきません。どうかご処分をお願いいたします」


「爺よりも問題はペーシャの方だな」


 グレゴリーはペーシャの方を向いた。


「爺にここまで言われてどうだ?全部話す気にはならないか?」


「わ、私は……やってません……」


 ペーシャは泣き崩れて話ができる状態ではなさそうだ。


「このようなことになり、私は如何なる処分もお受けする覚悟ですが、お前はまだそのようなことを言っているのか!この上は潔くこの家から出て行きなさい!」


「ちょっと待ってくれよ!まだペーシャがやったって決まったわけじゃないだろ!」


 俺は立ち上がって言った。


「もうたくさんだ!」


 バンっと机を叩いて立ち上がったのはレオンだった。


「おい!いい加減にしろよ!ダヴィド!全部お前が悪いんだからな!」


 お、俺が悪いの?


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