世界の開始①
「ねぇ、***さんさぁ、死後の世界って信じてる?」
暇つぶしに全てをかけていたような人達との、特に意味の無い会話。
天国地獄大地獄、来世転生ヴァルハラ等色々知っていたが、あの時はなんと答えたろう。
「あるといいね」
だったか、
「無いかもだから楽しく生きよう?」
だったか。
死んだのは2週間後。
そんな話をしたことも忘れていた頃だった。
上で挙げた中では、やはり転生に一番近かっただろう。
人知を超えた存在との邂逅、提示された可能性。
私達の持つ願望を基に異世界を創り出し、第二の生を与える。
断われる者がいたなら、一生を詐欺と二人三脚で過ごした狂人に違いない。
既に地球から見える星の数ほどあるのでは、という異世界が創られているとか。
創造も大変魅力的だったが、私が心奪われたのはむしろ今ある世界の方だった。
上位者の眼下に広がる、幾億もの世界。
見て回ることが叶うなら、それこそ自分の願望に他ならない。
人知を超えた存在に不可能はないらしい。
願いはあっさり聞き遂げられ、異世界渡りが出来る力を与えられることとなった。
さあ、転生の時だ。
更に気前の良いことに、訪れる場所は自分で選ばせてくれた。
最も美しい景観を持つという世界がスタート地点になる。
これから、何を見られるのだろう。
期待に包まれている内に体は光に包まれ、俄かに睡魔が襲ってくる。
意識が途切れると同時に、彼女は別世界へと送られた。
見届け終えると、彼の者は空間から木製の椅子を取り出す。
そして今までもしていたようにどっかりともたれかかり、その毛玉のケダモノは、巨大な体で静かに寝息をたて始めた。
今回と次回で2話構成です。
更新頻度は5日で固定したいところ