表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

トロピカル学園高等部2年4組❷ワタチは阿保ダラ。ダラダラしているのがいいの

❷ワタチは阿保(あほん)ダラ。ダラダラしているのがいいの


身長が百三十一センチ胴長短足でポッチャリ顔の女子高校生がダラダラダラダラと歩いています。

この女子高校生こそ、時間の概念がない琉球王国出身の阿保(あほん)ダラなのです。

 担任の大泉(おおいずみ)京慶(きょんきょん)先生がその後ろから何も言わずに我慢、我慢。付き添っているのでございます。

 そうしていると、当然ながら、同じトロピカル学園高等部の女子生徒が次々とこの二人を追い越していくわけです。

 その追い越す際には、大泉先生には必ず挨拶をしていきます。

 「大泉先生、おはようございます」

 大泉先生の空手三段、合気道四段、柔道二段は伊達ではございません。

 大泉先生は、男性教諭よりもコワ~い存在なものですから。

 ですから、大泉先生に逆らうなど愚の骨頂なのでございます。

 二十人くらいに追い越された頃でしょうか。

 昨日、中国の南京から転校してきたばかりの安本丹(アン・ポンタン)がやって来ました。

 「アチョー! トロトロしないで早く、早くぅ。遅れるわよ~。アイヤー! イライラするわねー」

 と言って、阿保ダラを担ぎ上げて走り出しました。

 大泉先生は、あっけにとられて、

 「あの()、一体、何なの?」

 と叫んでおります。

 大泉先生も負けじと走って、阿保ダラを担いだ安本丹をひとまず追いかけます。

 しかし、昨夜のお酒が祟ってか大泉先生は校門に着くや否や、お腹が痛くなってきてトイレへと一目散に。

 もう安本丹や阿保ダラどころの話ではございません。

 大泉先生はとりあえずトイレに入ったまでは良かったのですが、この時、肝心のトイレットペーパーが切れていたのでございます。

 大泉先生が、

 「誰かいないの? 誰かいないの?」と大きな声で連呼しますと、

 「何かございましたか?」という野太いおっさんの声。

 大泉先生は誰か居たことにひと安心したようで、

 「すみません。あの、ティッシュペーパーが切れているの。このご恩は絶対に忘れませんから。お願いします」と懇願しました。

 「もしかして、大泉先生ではございませんか? ハハハハァ」と何とも奇妙な笑い声。

 大泉先生は恥も外聞もなく、

 「そうよ。大泉よ。笑っていないで早く~」

 と言ってのけました。

 「分かりました。今回の件は校長先生にはご報告しませんので。ハハハハァ」。再び奇妙な笑い声が聞こえてきました。

 それからすぐに、大泉先生のいる個室トイレの便座の方へコロコロとティッシュペーパーが転がって行きました。

 「今の声の主は、もしかして……」

 それよりも、大泉先生がトイレから出て来てビックリ。

 なんと大泉先生が用を足した場所が、職員専用の男性トイレだったのです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ