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第94回 縞流し
11月17日
しましまの影が、月あかりにうつっています。
なにかいるんだ、しましまのやつが。
うまですか。
とらですか。
ネコさんが車の下から、ぬるり。
にゃあこんにちは、お早いですね。
ネコさんはしましまではないから、関係ない。
しかしこうして見回してみると。
世の中には、しましまの影をうつすものがいっぱいです。
ぼくはこう、ギュッと詰まっているほうが、好きなのだけど。
安定感がある。
どこもかしこも、スキマがあいています。
等間隔に、スキマ、棒、スキマ、棒。
半分は空いていて、半分は埋まっていて。
でも、人間は半分になれないから。
入れません。
半分のスキマ、ムダじゃないですか。
アメリカ人はこういう、非合理的なものがきらいなんだ。
ドイツ生まれですけど。
入れないので、ぼくは棒をぜんぶよせてスキマをなくしてしまいました。
フィフティ・フィフティ。
これでもう、誰も入れない。
スキマがなくなったからね。




