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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
葉月の章
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文明社会をカツオに生きる。

8月24日


かつて、人類で一番頭のよい外人が言いました。

今日、人類の技術の革新は加速的に進んでおり。

ぼくには第三次世界大戦の決着をつける兵器がどんなものか、想像もつきません。

ただ、第四次世界大戦のメイン・ウエポンが石と棒切れになることは間違いないでしょう。

さすが、人類で一番頭のよい外人だね、粋なことをおっしゃる。

文明社会を壊滅させてしまうような兵器を自ら造り出してしまう科学文明のおそろしさ。

それを実際に使っしまう人類の愚かさ。

そして、石と棒切れしかなくなってもベースボールをやめない人間の業の深さ。

人間になるということは、罪を覚えることなのでしょう、か。

ともあれ。


それからしばらく、そう、まあ、100年くらい?ですか、ね。

それでも世界は頑張って、表面上の平和を保ち、人類は怠惰と享楽の日々を貪っておりましたが。

タイム・ハズ・カム。

どんな恋にも終わりがあるように、ある日突然その日はやって来まして。

地球を三度めの戦禍の炎が焼き尽くし、世界一頭のよい外人にすら想像もつかなかったとんでもない兵器が炸裂。

人類が有史以来築き上げてきた文明社会というやつは遂に滅んでしまいました。

ぼんじーぼんじーぼんじーソワカー。

それでも。

そうそう簡単に絶滅したりしないあたりが人類の人類たる所以でして。

およそ文明的な生活と言えるものがことごとく失われた世界でも、人々は食べて寝て夢をみて、たまにベースボールをしたりして、ストロングビーサバイブ。

そうこうしているうちにやっぱりあいつが気に入らない、こいつは顔が変だと争い始めます。

それは次第に大きなムーブメントとなって。

とうとう訪れた、四度めの世界大戦。

しかし、何を勘違いしたのか。

人類は、その手にカツオを持っていた。


未来の人たちが何を考えてカツオを手にしたか、武器としてそれは有用なのか。

ぼくは世界一頭のよい外人ではないからさっぱりわからないし、そうなっちゃったんだから仕方ないだろう?としか言いようがないのだが。

とにかく未来の人たちは戦場でカツオをぶんぶん振り回し、頭をばっちんばっちんはたきあっていた。

夕暮れ。戦いが終わり、撲殺死体の山の前で皆で勝鬨、えい、えい、おー。

いっせいに天高く掲げたカツオ、へなっと曲がり。

あっちでおでこにばっちん。

こっちで後頭部にばっちん。

倒れた皆を冷たく月が照らします。

これは締まらない。


あいつら、また滅んだらしいぜ。またかよ、と様子を観に来た宇宙の方たちもさすがにカツオには頭を抱えるしかなくて。

あいつらはやっぱりダメだな、と帰ってしまいました。

残された人類は飽きもせず、憎しみ争い、カツオで殴りあい。

ばっちんばっちん、ぼんじーソワカー。

これがホントのカツオの叩きってか。

やるってか。

やるってか?


やりません。ぼくら平和主義者だから。

カツオではたきあうなんて、野蛮なことやってられるか。

殺すぞ。


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