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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
里緒奈の章
87/2896

第84回 0.03ミリの壁

11月7日


なにやら、先ほどから。

ピーピー鳴っております。

なんだろう。

バックするのかな。

ガッツするのかな。

なんだか、ピンチっぽい音です。

えいごでいうと、エマージェンシーコールズ。

捨て置けないので、ヘヤのなかをさがします。


けいたい。

鳴ってません。

冷蔵庫。

鳴ってません。

洗濯機。

ありません。

電子レンジ。

ありません。

アウトレンジ。

射程外攻撃。

ぼくは、よく伸びる右ストレートを繰りだしまして。

ガッツします。

ガッツします。

関節が、ぐき、ぼきっ。

むう。

トシだな、無理はよくない。

これでも昔は、素手で駒生川のイルカをしとめたりして。

イルカ殺しのKとおそれられたものなんだが、今は昔。

やれやれ。

力なくヒジを戻したところ、ピー。

これかい。


さて、困りました。

右のヒジ関節をまげるとピーと鳴りますなんて。

お医者様にだって言えやしない。

頭のおもしろい人と思われて、大学病院に紹介されてしまう。

最近はやりの、合コンとかいうやつだ。

じょしだいせいとか、いるだろうか。

ステキだわ。

思わず胸がドキドキのポーズをとると、ピー。

うへえ。


こんなにピーピー騒いでいたら、上のヘヤの人にまた、怒られてしまうよ。

こんな壁のうすいなめくじアパートでは、ピーピー音などもれまくりです。

エマージェンシーコールズと間違われて、ロボットが出動しかねない。

ロボットにころされてはたまらないので、もう寝ることにします。

右のウデをまくらに、ごろりと横になると、ピー。

ファッデム。

ふてくされて目をとじた闇のなか。

二階から、がちゃりとドアをあける音。

ふん。

ロボットめ、くるならきてみろ。

こんなこともあろうかと、こっちは玄関にモチを仕掛けてあるんだ。

そう簡単には、やられないぞ。


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