ねこの忍術
8月23日
知らないねこさんが、ぴゃっと出て来て。
小さい、茶トラの子猫さん。
先にコンビニの裏で赤ちゃんの子猫さんを見かけたけど、あれは大分まえだったから。もっと大きくなっていそうだな。
ぴゃっと出て来たのは兄弟だろうか。
あら、ねこさん。
ぼくはついうれしくなって、チチチと呼んでみたけど、またぴゃっといなくなってしまった。
びっくりさせてすまないね。
ぼくが自転車に乗っていたものだから。
大きな生き物にチチチと呼ばれたと思ったのだろう。
ぼくだって、巨大ロボにチチチと呼ばれたらときめいてしまうよ。
あっちの家の駐車場では、いつもついていない電気がついていて。
いつも寝ている変なねこが、今日は座って見張っているよ。
あれは変なねこだからな、たまには電気くらいつけるだろう。
いつもいるから馴れたもんだ。
まずいな、茶トラの子猫さんをびっくりさせたのを見られたようだ。
事案が発生してメールを配信されてしまうかもしれない。
あれは変なねこだからな、、メールくらいはするだろう。
それにしてもねこによく会う日だな、今日は会議だったのだろうか。
ぼんやり自転車をこいでいると、茂みの中から茶トラさんがまた、ぴゃっと出て来て。
やあ、またびっくりさせてしまってすまないね。
追いかけたわけではないのだが、ぼくも
そっちに行くもので。
ぼくが自転車に乗っていた、ものだから。
茶トラの子猫さんはびっくりして、また、ぴゃっ。
ああ、ダメだよ。
そっちに行ったら。
ぼくもそっちに行くから、また、びっくりさせてしまうよ。
ぼくが自転車をギイコ、ねこさんが、ぴゃっとでてきて、ぴゃっ。
ぼくが自転車をギイコ、ねこさんが、ぴゃっとでてきて、ぴゃっ。
あれ。
これではまるで、ねこさんがぼくを誘導しているみたいだな。
いったいどこにつれていかれるんだろう?
会議だろうか。
ぼくはねこではないのだが。
何度めかのギイコ、ぴゃっのあと、ふと地面を見ると。
ねこさんのかわりにパンツが落ちていました。
ねこがパンツになったんだろうか。
それとも、何かの罠だろうか。
背中に感じるねこの気配。
いま振り向いたら、ぼくはパンツにされてしまうのかもしれない。