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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
里緒菜の章

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ラブ愛撫!

10月17日


頭を撫でられた違和感があって。

見上げると、手が伸びています。

君ね。

そんなに欲しがるもんじゃない。

野暮ですよ。

今日はめづらしくたくさん寝てしまって時間がないから、お前のようなものにかかわっているヒマはない。

そういえば、昨日も撫でられた気がしてきた。

昨日は雨でカッパを着ていたから、よく見えなかったけど。

こやつか。

さては、頭撫で。

頭を撫でられるたびに20分、意識を奪われるおばけです。

道理で今朝は20分多く寝てしまったわけだ。

やっつけてやりたいところだが時間がない。



頭撫でのせいで時間がないので、今日は久しぶりにワープを使います。

ワープを使うにはなるべく身体をロケットに、密着させて。

姿勢を低くして、空気の抵抗を減らす。

音楽。

なるべく激しいのを頼む。

息を吸ったら、とめて、さあ一気に。

アイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイ。

アイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイ。

ワープのあいだは景色がどんどん、うにうに飛んでいきます。

しかし、ワープは疲れる。

こんなに長かったかなあ。

やっぱりペレペレペレペレでワープすべきだったか、ノリがちがう。


赤なので、止まりました。

ワープでも、信号は守らないとね。

事故になる。

資本主義経済の社会では命より時間を優先しがちですが、しんだらおしまいです。

あの世にはもっていけませんよ。

ワープをやめると血圧が大分あがっていて、ハーハーいってしまいます。

さわやかな風が、ぼくの頭をさっと撫でて。

野郎。

ワープにタダ乗りしやがったな。

運賃よこせ、あの世にはもっていけねーぞ。


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