オラ・ノムナラ
10月13日
闇の中からじじいが、スタタタタタタンと。
素早く、かつ、無駄のない動きで。
袋をふたつ投げると、網までかぶせてしまいます。
忍者か。
袋ふたつは、なんの術だ。
今どきは忍者も、高齢化しているというからね。
後継者不足で、たいへんだ。
忍者が帰ろうとすると、駐車場にとまっていた車が、ピコピコ。
変形する気か。
こいつ、ロボットだ。
忍者の仕事を奪うつもりなんだ。
忍者とロボットの、次世代スパイの座をかけたたたかいが始まります。
忍者とロボットは、どっちがつよいのだろう。
気になったけど、ぼくもいつまでも駐車場にいるわけにはいかないので。
うっかり応援して、忍者やロボットの後継者にえらばれてはたまらない。
すみやかに、その場をはなれます。
ぼくの進む道には何故だか、絨毯が敷いてあって。
あれだ、今日は雨が降るから。
忍者が足がぬれないよう、気をつかってくれたんだな。
忍者に気をつかってもらえるなんて、つまりぼくは。
殿様。
絨毯を歩くぼくを両脇から、赤い光が照らします。
ひかえい、ひかえい。
頭がたかい。
ひかえい、ひかえい。
殿様はわるくないな。
こういう気づかいはやっぱり、忍者でないと。
うむ、くるしゅうない。
こんどの選挙は忍者党に入れるとしよう。
しばらくはまだ、忍者の時代が続きさうです。




