百鬼夜行
9月27日
夜にうたをうたっては、いけません。
へびがくる。
すきなうたが、流れたものだから。
ついうれしくなって、うたいながら歩いてしまって。
ぼくのうしろに、へびやらとかげやら。
ロボットやキャベツや、夜の人たちがあつまってきて 、ぞろぞろ。
ネコさんが、ぎょっとしますが。
すいません。
ぼくはうたに夢中だからうしろに気づかず、サノヨイヨイ。
うたをうたうと、人間は血圧があがって。
血流がよくなるから、たのしいきもちになります。
ぼくもどんどん、早足になっていく。
うしろにいる夜のみなさんも、あわせてペタペタ、ギシギシ、ずるずる。
ぼくの歩くうしろを、うたがどんどん流れていって。
流れるうたのなかを、ペタペタ、ギシギシ、ずるずる。
やがて陽が昇ると、へびやらとかげやら。
ロボットのみなさんは解散してしまって。
あしあとだけが、うしろに残ります。
いつのまにかついてきていた、たくさんのあしあとを見て。
ふしぎに思いながらぼくは。
足下に転がっている、明るいあいだは歩けないキャベツを拾い上げるのでした。




