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冷蔵庫は放射能を防ぐ。
9月25日
空は真っ黒に、閉ざされていて。
昔の人は夜の帳、だなんて洒落た言葉を作ったけど。
これは厚くて重い、鉄の扉。
閉め出されてしまった星たちは、地上に降りてきて。
あっちでピカピカ、こっちでピカピカ。
いま風に言うなら、ピカ中というやつです。
赤やミドリや、きいろのピカピカ、星の海のなかを進むぼくの自転車にも、小さなお星さまがついていて、ピカピカ。
ネコさんの目も、ピカピカ。
おや、そこの茂みのなかでもピカピカしているけど。
あれはたぬきさんかな。
このへんにはたぬきの家族が、住んでいるはずだから。
たぬきさんかもしれない。
放射性物質じゃなければよいのだけど。
やがて空の扉が開くと、星たちは次々にピカピカをやめて。
空に帰ってしまいます。
ぼくと自転車も、このまま空にいけるのかな。
残念だけどぼくはまだ、空にいくわけには、いかないな。
ぼくは自転車のライトを消しました。
秋空はどこまでも白く澄んでいて、もうなにも見えません。




