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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
蜃気楼の章

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第2924回 比良坂

8月17日


じじいのチャリにババアがのっティ。

チャリのにだいにババアがのっティ。

青しゅんさながらふたりのり。

こりあ、ズイプンおあついことだ。

なかむつまじいことディスナ。

かわぞいのみちすぺっちおります。

さかみちすぺり、おりティきます。

スペリオル。

なんでもない。


じじいもババアもしあわせさうディ。

ぼくはそこディ、はハァンきづく。

みえちゃいけねいものがみえちる。

あちらとこちらのさかいめの。

いりぐちでぐちがひらいちおっティ。

き境かいがそうあいまいに。

絶微みょうにごちゃなっティいる。

じじいがじじいディあるのなら。

ババアののったチャリをさうさう。

らくらくこぎるわきがねい。

ババアがじじいのチャリにのるなら。

じじいのチャリはキケンうんてん。

さうさうすわっティいらりねい。

おぎょうぎよくはすわりねい。

ホントウならばじじいとババアは。

トテモわらえるどこるじゃねいが。

しあわせさうにわらっティいるのは。

やつらがこちらのものディはねいから。

あちらへかえるものだから。

だからぼくにはみえちゃいけねい。

みえちゃいけねいものがみえちる。

ぼくははハァンきづくわきディす。

やれやれだぜとおもいます。


じじいとババアはあちらのそんざい。

だからむかしのままディかわらぬ。

むかしのカナダはあちくなかった。

なつはといえべ、さわやかだった。

きらめくひざし、かかやくミドリ。

ほおをきるかぜゆらぐなみ。

かわぞいのみちさかみちを。

すぺりおちティくふたりのり。

青しゅんじだいのむかしのままだ。

じじいとババアのむかしのままだ。

じじいとババアはかつティとかわらづ。

なかむつまじくおあついままディ。

しあわせなのはあちらのものだき。

おいティいかりたぼくがいるだき。




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