第278回 無礼家
5月20日
さくばんの、ことです。
なんだか、おなかがひえて。
トイレにいきたくなり。
フワフワと起きだしたぼくは。
トイレにいきました。
む、紙がない。
観察力のあるぼくは。
トイレに入った瞬間に気がつきます。
これがザコのペンギンとかなら。
トイレをするまで、気がつかない。
トイレをすませて、はじめて気がつく。
トイレから、でられなくなります。
ペンギンは、ザコだな。
そう思いながらぼくは。
紙をとりに、戻るのですが。
紙を棚から、ひっぱりだした。
その刹那。
バチーン。
世界のスイッチがおちて。
世界がおわってしまいました。
どうも、ひっぱりだした時に。
スイッチにひっかけて、しまったらしい。
おわってしまった世界で。
ぼくは、とりあえず。
トイレにいきたい。
右手には、紙のロール。
トイレにいかなくては。
この右手の、やり場がないじゃねいですか。
困った。
世界がおわるのは、別にいいけど。
トイレにいけないのは、困ります。
トイレにいきたくなりながら、ぼくは。
しかたない。
世界のスイッチをさがしますが。
むぅ。
これはわりと、緊急じたい。
なんだかものすごく。
トイレにいきたくなってきた。
世界のおわっているまま、とりあえず、トイレにいくべきか。
はたまた。
世界をもとにもどしてから、落ち着いて、トイレにいくべきか。
こんな時。
世界のスイッチは何故やら、あるはずの場所にありません。
ちくしょう。
こういう時は、携帯でんわ。
たとえ世界がおわっても。
携帯でんわは役にたちます。
世界がおわっているので。
でんわは、できませんが。
もしもし。
やっぱりダメか、ファッデム。
携帯でんわは画面が光る。
世界のスイッチを、さがせます。
皆さんもおぼえておきましょう。
携帯でんわは画面が光る。
じしんのときに、役にたつ。
スイッチ、スイッチ。
あった。
世界のスイッチが、いち、に、さん。
あれ。
全部ちゃんと入っている。
なんで世界はおわっているのだらう。
ぼくはスイッチの組み合わせをかえて。
いろいろためしてみます。
いちばん、落とす。
にばん、いれる。
さんばん、いれる。
いちばん、いれる。
にばん、おとす。
さんばん、おとす。
うーん。
2かける、3だから。
ぜんぶで6パターン。
そんなにためしている、時間はないな。
何故なら、かなりトイレにいきたい。
ぼくは思いきって、世界のスイッチを。
ぜんぶおとして、しまいます。
いちばん、おとす。
にばん、おとす。
さんばん、おとす。
あっ。
3ばんの上に、4ばんのスイッチ。
これですわ。
こうして。
ぼくは無事、トイレにいけて。
何度かテキトーに、バチバチ。
スイッチをオンオフしてしまった世界も。
とりあえず。
回路が焼けたりはせず、今のところまだ、つかえるようです。
さくばん。
そんなことが、ありました。
世界のみなさん。
おさわがせして、もうしわけない。
アイムソーリーと謝罪します。
世界がおわったままにならなくて、よかった。
ぼくはまだまだ。
トイレにいく以外にも、世界でやるべきことがあります。
きょうをむかえられたことを、かんしゃします。
手をあわせるぼくの右手には、紙のロール。
トイレには、ペンギン。
でてこられなくなっています。
ペンギンはザコだな。