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第275回 喪に服す
５月１７日
おなじ時間なのに。
なにやらうすぐ、らいですぞ。
街じゅうに。
ならんだボンボリ。
ついてます。
ふむ。
きょうはだいぶん、海がちかい。
波のうねりが空にせまって。
朝のひかりを、さえぎります。
おや。
ビルが、くろい衣装をまとっておる。
お葬式ですか。
お葬式では。
うすぐ、らくてもしかたがない。
どなたがおなくなりに。
なった、のディスか。
街じゅうがボンボリをつけて。
海がちかくなるくらいだから。
きっと。
有名なかたに、ちがいない。
ビルが参列するお葬式。
ゲイツ。
いや。
ゲイツはまだ、いきている。
かってにころしては、おこられます。
空にはカラスやこうもり、ダウンジャケット。
くろい生き物たちが、ぱーたぱた。
有名なかたの、お葬式にいきます。
もうしわけない、ぼくはしらなかったものディスから。
ぼくだけうさぎの、パーカーです。
せめて、フードをかぶり。
ボンボリをつける。
うさぎじゃ、ありません。
チョウチンアンコウです。
チョウチンアンコウは空気がよめる。
はねません。
うかれてなんか、いませんよ。
