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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
セプテンバーの章

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マーキュリー

9月7日


肌寒い空気が留まっていて。

うでまくりをしていたのだけど、おろします。

冷えてしまう。

ピッチャーは肩を冷やしたら、だめだ。

夜明け前の空には、星がいっこだけ、ぽつんと。

残っています、金星かな。

行ってみようかな。


道路ではおじさんたちが赤いのを振っていて。

進めない。

星をひとりじめする気だな。

「終わりですよ。」とおじさんたちに声をかけると、おじさんたちは三角を一斉に持ち上げます。

知ってるよ、重ねるんだろう。

ぼくは大卒だから、詳しいんだ。

大変そうなので、手伝ってあげます。


ぼくが三角をみんな投げてしまうと、おじさんたちは「ありがとう。」

ぼくは、「おとといきやがれ。」

さわやかなあいさつを、かわします。

たくさん投げたので、すっかり暑くなってしまった。

おろしていたのを、うでまくりに直そうかな。

キャッチャーは、肩を大切にしなくてはだめだから。


あの星はいつの間にか、すっかり遠くなってしまって。

やあ、待たせたね。

いま帰るよ。


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