第223回 北斗龍撃虎
3月26日
足があたらしく、なりましたので。
あたらしい足は、さわやかで。
こきちよく。
どこまでも駆けて、いけそうですが。
駆けません。
ぼく、こどもじゃないですし。
駆けるなんて、ヤバンです。
ガマンします。
足があたらしく、なりましたので。
さわやかに。
駆けたいのをガマンする、ぼくですが。
うしろから。
ながいトラックが、うのーん。
ううむ。
うのーんとながい、トラックです。
ここまでうのーんと、ながいとは。
トラックは、龍なんじゃないか。
晴れだし。
龍くらいは、とんでいたっておかしくないうのーん。
さわやかなぼくのとなりを、龍がうのーん。
とおりぬけて、いきますが。
龍のうしろに、「虎徹」の文字。
とらですか。
龍とおもわせて。
ながいのに、とらですか。
まあ、とらはネコさんのなかまでして。
ああみえて、ながい。
そう。
ネコさんは毛皮がだぶだぶで。
ああみえて、ながい。
じつは、うのーん。
さわやかなぼくのとなりを、とらはうのーん。
とおりぬけて、いきますが。
足があたらしく、なりましたので。
ぼくだって、まけやしません。
さわやかに。
駆けていきたい、ところですが。
ぼく、こどもじゃないですし。
駆けなくたって、まけやしません。
このとらやろう。
とらはうのーんと、朱の空に舞いあがり。
うのーん。
うむ。
空は、反則。
さすがに追えません。
虎ののぼっていった、空をみあげ。
ぼくはさわやかに。
どこまでも駆けていきたい、きぶんですが。
駆けません。
ぼく、こどもじゃないですし。
駆けるなんて、ヤバンです。
春の風は駆けなくたって。
こきちよく。
あんがいさわやかな、ものなのディス。