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第217回 patの弟のkevinです。
3月20日
おとぅとや、おとぅとや。
おまへがけふは、レーザーがふると。
いふものだから。
兄はあさからレーザーにそなへて。
ミラーアーマーで全身を、くまなくまもつていたといふのに。
レーザーなんて、ふりやしない。
おとぅとや、おとぅとや。
また。
兄をだましたのディスね。
兄は、ゆるしません。
ミラーアーマーのひさしをあげて、東のそらを見上げる兄。
ミラーアーマーの、ぴかぴかかぶと。
かぶとにあいた、兄の顔から。
東のそらにのぼる、兄の雲。
兄はごきげん、ななめです。
弟は、灰色のそらに。
西からくる黒い雲を見上げ。
またかい、にいさん。
ふうと大きく、ためいきをつきます。
むくむく黒い、兄の雲から。
ふりそそぐ、兄の種、兄の種、兄の種。
東の地におちた兄の種は、やがて芽をふき、鬼となる。
東の地に満つ、鬼のむれ。
弟はミラーアーマーのひさしを下げて。
鬼のむれのなか、立ちつくします。
全身くまなく、鎧でまもって。
鬼がつかれて、去るのをまちます。
弟を鎧う、はがねの装い。
鏡面にうつる、鬼の顔は。
弟の顔と、おんなじでした。