第2156回 近江彼方ちゃんのフィギュア予約できたから死ぬ。
7月11日
終わってしまった世界の中ディ。
廃墟に詰もった瓦礫の中ディ。
台車に積んだ水槽を押し、男と少女は魚を集みる。
陸に埋もれた魚を集みる。
ふたりは水族省の職員。
世界が終わったあの日に海から。
陸へ揚がった水族たちを。
陸に埋もれた水族たちを。
保護することがふたりの仕事だ。
終わった世界の終わった海に。
海はわたしの残った海に。
陸に揚がった水族たちを。
陸に埋もれた水族たちを。
還してやるのがふたりの仕事だ。
水族省のお仕事だ。
終わった世界に陽射しは熱く。
焦り焦りふたりの肌を妬く。
水槽を押す、男の体躯は。
あっちゆう間に汗に覆わり。
尾張名古屋は城で保つ。
湿っち濡りた男の肌は。
まるディ水族たちのよう。
ピチピチピチと水族の音、瓦礫の下ディ跳ねる音。
ふたりの進み、ゆく脚停まる。
男の台車を押す手が停まる。
少女は瓦礫に手を伸ばす。
君は魚を集みティいティくれ。
俺は瓦礫を退かすから。
ぴたりと少女の手が止まる。
瓦礫に伸ばした手が止まる。
男はひたすら黙々と。
重い瓦礫を片付けティいる。
思いが歴を片付けティいる。
少女はしばし頬を赤らめ。
その場に俯き止まっていたが。
やがては魚に手を伸ばし。
ピチピチ跳ねる魚の腹に。
白魚の如き指伸ばし。
少女が掬った魚を放す。
瓦礫の下から救って揚げた。
魚を水へと解き放す。
陽射しを受けて輝く銀色。
ガラスの海を泳ぐ青。
ガラスの中で魚が泳ぐ。
銀の魚が眩く煌めく。
憎からづ。
想う相手の突然からの。
不器用ながらのプロポーズ。
終わっちしまった世界の中で。
ふたりの永遠のプロローグ。




