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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
セプテンバーの章

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モーニングアイランド

9月3日


お早うございます。お早いですね。

皆さん、駅に向かいます。

ぼくも例外では、なく。

駅に向かってててろてろ歩いているのだが、今日は、日曜日なのに。

皆さん、お早いですね。

日本はキリスト教ではないから、関係ないのかな。

休まなくても、よい。

ぼくの前もオバサンが歩いていて。


いやだなあ、ぼくは。

2番めはいやなんだ。

真似をしていると、思われる。

オバサンがてろてろ歩いているものだから、ぼくまでてろてろ歩いてしまう。

本当はもう少し、わしわし歩きたいのにな。


てろてろ歩くと、お地蔵さまのお堂があって。

今日はしまっています、日曜日だからね。

お地蔵さまはキリスト教なのだろうか。

オバサンはお堂の前に行くと、手を叩いて、おはようございます。

信心深いな。オバサンはどうやら、キリスト教ではない。


オバサンはお辞儀をすると、ああ、いけません。

お地蔵さまのお堂を開けてしまいました。

おこられますよ。

オバサンがお堂に入ると、かわりにお地蔵さまが出て来て。

お早うございます。お早いですね。

おや、お地蔵さまも駅へ行かれるのですか。

キリスト教では、なかったのかな。

いや。

若干ご機嫌ななめなのか、お堂の扉に関貫をかけておばさんを片付けてしまった。

こわいな。

きっとお地蔵さまは敬虔なキリスト教徒で、日曜日にお早いのがお怒りなのだろう。


オバサンがいなくなったので、ぼくは少しわしわし歩くのですが。

困ったな、お地蔵さまがみしみし追いかけてくる。

もう少しわきわき歩かないと、追いつかれてしまうよ。

捕まったら、きっとお堂にしまわれてしまう。

ぼくは駅へ行かなきゃいけないのに。


市役所の駐車場では警備員さんがヒノマルを揚げていて。

お地蔵さまは交替だ、というとヒノマルを揚げ始めました。

おお、なかなかのお手前で。

コツがわかっていらっしゃる。

ヒモの引っ張り方とか、速さとか。

いろいろあるんですよね、知っています。


お地蔵さまが警備員さんをお堂にしまい始めたので、ぼくは安心して駅に向かってわしわし歩きます。

やっぱり、自分のペースが一番です。

お早うございます。お早いですね。


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