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トゼンサウ  作者: ナルサワパン
葉月の章
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地上の掟

8月17日


半月ほど、雨が降りつづいているので。

いつもは海にいるくらげさんたちも次々と陸にあがってきました。

お盆も過ぎたからね。あの連中、いよいよ遠慮しない。

雨で水が増えているからね、陸にあがっても、干からびないしね。

くらげさんたちは足が長くてスタイルがよくて。うらやましい。

あんなに長い足で、器用に歩くものだね。

陸に上がると、生き物は骨が頑丈になるからね。

進化論というやつだ、ぼくは知っているもんね。

インテリだからね。


さて、向こうから傘もささずにくらげさんがきたものだから。

「くじらさんこんにちは。よい雨ですね。」

くらげさんに言葉は通じるのかわからないけれどね。

今日も血圧もちゃんとあがっているし。

くらげさんが地上を侵略して、少し気分が良かったものだから。

まあ、通じるだろう。生き物は陸に上がると言葉が発達するからね。

だからくじらさん。こんにちは。

なのに、奴さんときたら。

「おとといきやがれ」

なんだくらげこのやろう。礼儀をしらないな。

生き物は陸に上がると罪を覚えるのだろうか。

これは、教育をしてやらねばなるまい。


朝は、おはよう。

「おはよう。」「おはよう。」

夜は、おやすみ。

「おやすみ。」「おやすみ。」

昼は、こんにちは。

「こんにちは。」「こんにちは。」

夜は、こんばんは。

「こんばんは。」「こんばんは。」

おはよう、おやすみ。

こんにちは、こんばんは。

おはよう、おやすみ。

こんにちは、こんばんは。


礼儀を学んだくらげさんたちは、そこやかしこでおはよう、おやすみ。

地平を埋めるくらげさんたちが、こんにちは、こんばんは。

今や日本のどこまでも、おはよう、おやすみ。こんにちは、こんばんは。


ああ、うるさくて眠れやしない。

早く雨がやまないかな。


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