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第153回 修羅道
1月15日
大きなカベが、じんわり、もいもいとせまってきている。
ふつうは気づきません、じんわり、もいもいとなので。
でもぼくはプロなので。
そんなにじんわり、もいもいとしていたってダメだ。
気づきます、英検二段の腕がさえます。
あのスピードなら、相対的にかんがえて。
前をよこぎる、ことができる、かな。
いってみます。
冒険したいお年頃なんです。
大きなカベは、青と白とをピカピカさせながら。
じんわり、もいもいとせまってきている。
まにあいますかな。
まにあいませんか。
もいもい、もいー。
とまりました。
さすがはプロだ、そんなことまでおみとおしです。
大きなカベは、もいもいと言わなくなって。
青と白とをピカピカも、やめてしまいました。
しんでしまった、のでしょう、か。
なにも、しぬことはなかったのに。
プロとはときに、非情な決断をせまられるものなのディスね。
強敵よ。
お前もまた、ぼくの糧となったか。
ぼくは大きなカベのために、英語でアーメンと冥福をいのりました。