第151回 暫
1月13日
月にいくのは、まだ先の予定ですが。
土にかえるわけにも、まだいかないので。
おきます。
人は寝てばかりいて、おきないと。
血の流れがくさって、おきられなくなります。
それは、困る。
こわいので、おきますよ。
ぼくはおきようと、いきおいをつけるために。
朝の光に手をのばします。
決して掴めない、まぶしい光。
だからぼくは、指をひらいて。
せいいっぱい、グイーとのばす。
光のまえに5本の指。
せいいっぱいひらかれて、影になっている。
光と、手と、ぼく。
太陽と、月と、地球の位置。
地球は、まわっていますから。
ぼくも、まわらないと。
地球のぼくはゆっくりと、首をナナメにまわします。
はんたいの手は?
同じようにひらいて、顎のよこ。
はい、そこでよい。
位置が決まりましたので、あいやしばらく!
しばらくしばらく!しー!ばー!らー!くー!
ばかなことをやっていないで、おきます。
いい加減にしたまえ。
さて。
おきましたよ。
おはようございます、お早いですね。
ふむぅ。
月にいくには、まだお早いですし。
しばらく、どうしたものだろう。
とりあえずゴミを出します。
きょうはゴミが、土にかえる日です。
ゴミをもって、ヘヤをでます。
あいやしばらく!
しばらくしばらく!しー!ばー!らー!くー!
なんだよ。
止めないでくれ、ぼくは行かなきゃいけないんだ。
ゴミを出してもどってくると、ヘヤのトビラが。
あきっぱなしに、なっています。
カサがはさまっていた。
むぅ。
さいきんは強盗も来るというのに、不用心な。
さっきのしばらくは、これですかい。
これからはもっと、わかりやすく言ってくれ。
ぼくはトビラにはさまって折れたカサを、ゴミに出しましたよ。