第136回 あらハバキ
12月29日
年末。
八百万の神様たちが、今年は、どんな年だったか。
良い年だったか。
悪い年だったか。
決めるために、お大忙しの中。
一人出遅れたススハライの神様は、5時11分に目を覚まし、「しまった。」と頭を抱える。
昨晩は、ひとり浮かれて、飲み過ぎた。
困った。
ススハライの神様はヘンクツで、嫌われ者。
他の七百九十九万の神様たちのメールとか。ラインなど、知らない。
それに、今から行ったところで、なにが出来るというのか。
今からでは、せいぜい七7時43分とか、微妙な時間に到着して。
皆に、「何しに来たんだよ」という顔をされるくらいのモノでは、あるまいか。
今年はもう諦めて、あと1年、寝ていようか?
ススハライの神様は、一瞬そう考えたものの。
一年一度の、自分の出番。
それを逃すのもナニカということで、急ぎ身なりを整え、街へ駆け出す。
冬空に黒煙を巻き上げ、ススハライの神様が通りを駆ける。
街に降り注ぐ、黒い煤。
さあ、皆の衆。思う存分、払ってくれい。
ススハライの神様が7時52分に到着すると、他の七百九十九万の神様たちは。
一様に、「何しに来たんだよ」という顔をして、今日の主神をお出迎え。
ススハライの神様は、照れ臭そうにハタキをかざし。「さあ、始めようぞ」と開始の音頭。
「今からやるのかよ。」
他の七百九十九万の神様たちは、満場一致で、今年の一年を。
すごく悪い年であったと、決めたのであった。