スタンダール
8月29日
赤いのと、黒いのがあって。
小さいマルなものだから、わかりづらい。
小さいから。使いづらいのよねえ、とおばさんが言う。
わかりづらいっすね。と話を合わせると、おじさんも、なんで、赤と黒にするんだろうなあ。
あらほんと、赤いのと、黒いのがあるわ。おばさんが言うので、次はぼくの番か、黒い方が見づらいっすよね。と話を合わせると、おじさんが。
なんで、赤と黒にするんだろうなあ。
ずるいぞ。それはさっき言ったじゃないか。
おばさんが、ほんとよねえ、なんで同じにしないのかしらねえ、と言うので、さあ、男の子と女の子なんじゃないっすかねえ。
すると、おばさんが真っ赤になってしまったものだから、おじさんまでもじもじしはじめて。
しまった。これはセクハラだったか。
最近はすぐ、コンプライアンスだとか、アロマノカリスだとか、言って。
訴えられてはかなわないので、ぼくは地層を掘ってきますといってその場を離れます。
ぼくがオーパーツを掘り出して帰ってくると、おばさんとおじさんが手をつないでいました。
どうやら、とんでもないものを発掘してしまったらしい。
こんなことから生まれる恋もあるのですね、ハルキゲニア。