第133回 かたじけナイ
12月26日
あちこちに、カサがかかっていますね。
階段の、てすり。
へい。
電柱。
木のえだ。
ガンダム。
ガンダム?
年末の、かざりですか。
いいえ。
それは、きのうおわりました。
おまえたち、いつまでもケーキ気分でいるんじゃない。
この、西洋かぶれ。
きょうからは、モチです。
モチをかざりなさい。
きのうは、朝だけ雨が、ふっていましたので。
みんなは、カサがいらなくなって。
あちこちに、カサをかけていってしまったのでせう。
そういえば、ぼくも。
カッパをまるめて、なげたままです。
おまえはもう、ようずみだ。
大量生産、大量消費。
資本主義社会のひずみが、ここにもあります。
みなさん。
サッカーをみにいったら、ゴミをひろいましょう。
こんなことをやっていると、そのうち。
カサにしかえしをされるのでは、ないでしょうか。
ほら、ごらんなさい。
冬晴れのさわやかな空から、ふわふわと。
カサが、おりてきます。
おりてきたカサは、持ち手の「J」に、悪い子を、ひっかけて。
また、ふわふわとあがっていきます。
悪い子は、カサにつれていかれますよ。
ゴミをひろいましょう。
モチをかざれ。
ゴミをひろわない悪い子は。
どこに、つれていかれるのでしょう。
カサはふわふわ、飛んでいって。
海までくると、いっせいに、さかさになります。
「J」は、ひっくり返すと、「し」。
悪い子は、海にドボンです。
人間はもっと、ぬれないですむことをカサに感謝すべきですね。
ぼくも、きょう帰ったら。
カッパをちゃんと干すことにします。
モチ。
モチなら、去年からかざったままだぞ。